ツインテールの吸血鬼はお好きですか

Do you like a twintail vampire ?

艦これアーケード

……卓上に並べられたエントリーシートを確認する。自分の名前よりおおよそ3人ほど上までチェックが付けられている。……自分の番が回ってくるまで、あと20分ほどだろうか。

f:id:ming_mina:20160425192014j:plain

駅前の商業施設の地下2階にあるゲームセンターは、今日も提督たちで混み合っていた。先月4月26日から艦これアーケードのためにこのゲーセンに通い始めて、約1ヶ月経った。稼働当初は物珍しさから混み合うことは予想していた。だから連休を挟めば少しは客足も遠のくかと思いきや、今週末もお昼前には70人以上がプレイ待ちと、活況ぶりは全く変わっていない。

予想通り20分後―名前が呼ばれる。台に付く前にもう一度エントリーシートを見る。エントリーシートに並ぶ提督名。……稼働当初はみんなエントリーシートに自分の名字を書いていたというのに……。提督たちも慣れないゲームセンターにもいつの間にか適応していたようだ。

 

f:id:ming_mina:20160420202553j:plain

Aimeカードを筐体にタッチし、ゲームにログイン。300円を投入して900GPを購入。ほどなくロードが終わり、母港の執務室が表示される。いつもの母港の音楽が流れ、上品な衣装に身を包んだ黒髪の艦娘に挨拶される。現在の旗艦は飛鷹。現時点でうちの主力航空戦力だ。

まずは開発を行う。……ブラウザでもそうだったが、艦これの初期というのはひたすら強い航空機の開発に明け暮れるものだ。アーケードでも開発や建造はブラウザとほぼ同一のルール下にある。投入する資源量を選択してタッチ。それの繰り返し。……ああ、開発を行うなんて何年ぶりだろう、と。

そういえば、ブラウザゲームのほうでは、もう長いこと開発を行っていない。なぜならもう必要なものは開発してしまったからだ。デイリーをこなす意味はあるだろうし、改修を本気でやるのなら複数個開発は必要だが……おれはそういうのを少し面倒に思っている。

……今日の開発では彩雲と紫電改二が出た。……ついてる。幸先の良いスタートが切れたので、早速「出撃」をタッチする。目指すは2−4。2−4には、これまで2回挑戦し、2回とも撤退の憂き目に合っている。今度こそは、とレバーを握る手にも力が入る。

2−4はそれまでのステージと比較して長丁場のステージだ。作戦時間も6分30秒。行く手を阻む敵艦隊も相当数おり、まともに戦っていればボスに辿り着く頃にはボロボロになっているだろう。このステージは、ブラウザのほうでも初心者の壁として立ちはだかっていたが、アーケードでも同様にこれまでのプレイングの総復習と言える。それでも、ある程度自分の操作で戦闘を回避することができるから少し難易度は下がっていると思うけれど。

 

索敵。敵を発見。航空攻撃。以前は航空機の切り替えにすら手間取っていたものだが、今では慣れたものだ。2−4に出現する程度のヲ級であれば烈風と紫電改二を載せた飛鷹で十分押さえられる。躊躇せず航空攻撃を続ける。

やがて敵本隊と接敵。構成は戦艦×4、駆逐×2。戦闘開始直後の航空攻撃で駆逐艦を撃沈。同時に大きく舵を切ってT字有利を狙う。距離が「遠距離」レンジに入ったことを示すラインの内側に入れば戦艦の射程だ。……しかし敵も戦艦。「遠距離」レンジに入った瞬間に砲撃の警告が飛んでくる。こちらの陣形は単縦陣……レバーを全開にして回避。…敵の砲撃がそれたことを確認してこちらも砲撃。小ダメージ。流石に戦艦は固い。

その後も距離を縮めながら砲撃戦を繰り返す。途中で敵の砲撃を避けきれずに被弾し愛宕が大破するが、他艦はなんとか小破以下で持ちこたえる。こちらも敵の駆逐艦を含む3艦を撃沈。残り2戦艦にも小破と中破を与えた。そこで作戦時間が尽き、夜戦へ突入となった。

このゲームでは、夜戦とはロスタイムだ。昼間倒しきれなかった敵艦隊を、たった20秒の間に倒さなくてはいけない。ゲームの仕様上、戦艦は一度砲撃してから再度砲撃できるまでのクールタイムが非常に長い。20秒ではせいぜい2回の砲撃が限度だ。夜戦で特に火力の高くなる重巡の一人は大破して夜戦に参加できないし、飛鷹も夜戦に参加できない。少し頭数が足りない。

夜戦開始直後はいきなり中距離からのスタートとなる。開始と同時に全艦同時攻撃。目押しは外さない。中破艦を撃沈。残り1艦。

夜戦では回避している余裕がないから敵の反撃を甘んじて受ける。飛鷹が大破したが、夜戦には影響ないと割り切る。残りカウントは2秒。再装填。照準を合わせて発令ボタンを叩く。砲弾が尾を引いて敵に吸い込まれて……クリティカル。撃沈。やった。

主力艦隊殲滅とデカデカと表示されて、ちょっと目に眩しい。……南西諸島は生憎の曇り空で暁の水平線は拝めながったが、晴れやかな気分だった。

 

 

f:id:ming_mina:20160523003941j:plain

……今更説明も不要だろうが、艦これアーケードは、ブラウザゲームである艦隊これくしょんを、セガアーケードゲームとして生まれ変わらせた作品だ。公式二次創作的と言えるものだが、流石セガはゲーム作りの老舗と呼ぶべきか、爽快感とやりごたえを合わせ持つ作品に仕上がっている。

ブラウザゲームの方は「運ゲー」と揶揄されることもあるくらい、確率の揺らぎをどこまで制御できるかが攻略の論点であることは間違いない。その派生であるアーケードも運要素は無いと言えない。T字有利をとって全艦砲撃でもカス当たりもあればクリティカルが起きるときもある。

……それでも。操作も砲撃も回避も、自分の意志で出来るのが嬉しい。戦況に合わせたリアルタイムな陣形変更が楽しい。距離を一気に詰めるのにワクワクする。そして、何より、艦娘の一挙手一投足が可愛い。だから、みんなして艦これアーケードを長時間並んででもプレイするんだと思う。

実のところこの感覚は、初めて艦これに会った頃の気持ちに近い。懐かしい感覚だ。

艦これアーケードは間違いなく艦これというコンテンツの中興の祖となる存在だと思う。このゲームの稼働を起点に今後も粘り強い展開を望みたい。

LTD06のリリイベに行ってきたこと

先週の話となってしまうが、ミリオンライブのLTD06のリリイベに行ってきていた。今更では新鮮な感想にならないから大したことを書かない。ひとつだけ。

最近の自分は種田梨沙さんにすごくハマっている。何が良いのかと言われたらその声質だと思う。独特の…芯のある声にすごく惹かれている。女性声優がどんどん出てくる昨今で、一発で判別できる個性があるのはとてもありがたいというのもある。

おれは種田梨沙にドル売りのイメージはなかった。いくつかのキャラクターソングを歌っていることは知っていたのにも関わらずである。そんな彼女が、実はアイマス声優にカテゴライズされることを知ったのは、ごく最近だったりする(アイマス声優がドル売りなのか、ということに関してはさておき)。

それは、半年ほど前、シンデレラガールズもやったから今度はミリオンライブにも手を出してみるか…と思った頃だ。キャラクターと声優の一覧を見ていて、そこに彼女の名前を発見してとても驚いた。出演作には目を通していたつもりだったが、こんな大きな所に出ていたとは。しかも周囲の人間に「みんぐさんの好きなキャラの傾向からして田中琴葉あたりがオススメだよ」と言われていたから余計にびっくりした。

そんなこんなでミリオンライブにぐっと興味が湧いたのだ。…まあろくにプレイできてないのではあるが。

 

CD買ったらリリイベ当たったので行ったわけだ。

種田さんのUnderstand?Understand!を生で見れたわけだ。

既にミリオン3rd Liveの福岡講演をLVで見ていたが、生で観たパフォーマンスはずっと良かった。会場も狭めだったから飛んで跳ねて手を振って、一挙手一投足が目に収まったのもある。

ああ、なるほど…人はどうしてLVで満足できないのか…よくわかった。生で見る、体験するってのは、こんなにも違うのか。改めて理解した。

 

ラブライブ!のファイナルのLV(録画)を観てきたこと

ラブライブ!μ's Final LoveLive!〜μ’sic Forever♪♪♪♪♪♪♪♪♪〜のLV(録画)を観てきた。初めて(まともに)観たラブライブ!のライブであり、これが最後のライブだろう。

 

正直に言うと謝らなくてはいけない。ちょっと舐めていた。ここまでガチな代物であるとは思わなかった。

・バラード無し

・全曲ダンス

100%燃え尽きるだけのセットリスト。5時間という長丁場に関わらずダンスはきっちりやるし…何より個々人の歌唱が本当にいい。CDで聞いていた時よりもずっと印象が強か。…飯田里穂さんがこんなにガチだなんて思わんかった。凛ちゃんはもっと下手だろう…という変な先入観があった。俺は阿呆だった。なんというか、全体曲でなんとなくCDで聞くのと、ちゃんと歌っているところを見るのでは、大きく印象が違う。

 

BiBiとPrimtempsとlily whiteがどういう系統の曲でまとめられているのかも初めてわかった。BiBiは現代的なダンス・ミュージックの系統で、Printempsは90年代チック、lily whiteは80年代アイドル歌謡曲という雰囲気で、それぞれきっちり合っていた。ライブでまとめて聞いて初めてその属性が分かった。

どれもきっちり雰囲気出てるし、決めている。人気の出るコンテンツというのは、ちゃんと人気が出るなりの理由があるわけだ。そりゃ好きになるだろう。なるしかないだろう、という感じだ。

 

一番印象に残ったのは、和服に着替えてAngelic Angelからの流れだろうか。「輝夜」は初めて聞いたときからライブで盛り上がるだろうなぁと思っていたが、確かにそのとおりだった。その後の和ロックっぽいやつ(だってだって噫無情)も素晴らしかったな。扇子ってのは、すごく映えるアイテムなんだよね。振ってよし、回してよし、閉じて開いて表情を付けられる。もっと活用するべきアイテムだろう。

 

ラブライブ!については、本当にガチな人ほど思いを持っていないし、終わるということに対して感慨を持っていない。でも彼女たちが今後どうなるのかに思えをはせないではいられなかった。音楽の伝える力ってのがあるとすれば、それは確かにあったと思う。

最近のコンテンツは体験を共有することにシフトしていると言うが、その最先端を味わえた気分だ。それさえあればドームを埋めることだってできるのだと。

 

らきすたが聖地巡礼の先駆けという風潮は解せない

聖地巡礼の話が傾聴に値するかを判断する基準として、「2007年のらき☆すたのアニメが嚆矢である」みたいなことを宣っているかどうかは役に立つ。そんなこと言ってる筆者がいたら耳元でShooting☆Starをガンガンに聞かせてやりたいと思っているくらいだ。だから、以下の記事は信用に値しない。

diamond.jp

 

萌えビジネス全般を雑に語っているため、全般的にツッコミどころが多いのだが、聖地巡礼のところだけでも反論しておく。

 

さて、萌えアニメとのコラボによって、町おこしに成功したケースはいくつかあるが、そこにも成功のヒントは隠されている。最も有名な成功例は、やはり「萌えアニメ町おこしブーム」の先駆けでもある、女子高生の日常系アニメ『らきすた』の舞台となった埼玉県鷲宮町(現・久喜市)だろう。

木崎湖のことを、おねがいシリーズのことを忘れちゃいませんかね。

f:id:ming_mina:20160323235453j:plain

おねがい☆ティーチャーとのコラボ日本酒が発売されたのは2007年の夏頃(正確な発売日は探れなかった)らしい。(画像のはもっと後の時期に買ったものだけれど)この時、らき☆すたのアニメ放送中。どこまで正確はわからないが、鷲宮が町おこしに動いたのは2007年の秋頃らしく、鷲宮の事例が先行ではない。

別に聖地巡礼が初めて行われたアニメというものが、おねティってわけでもなく、探せばさらに事例は遡れるだろう。大々的に、と条件つければ別にらき☆すたが最初だって構わないけれど。だが、この手の話をするといつも真っ先にらきすたが出てくるのは、なんとなく良く思えないのだ。

こんな感じに扱うのがまだ正確。

http://hdl.handle.net/2115/38119

 

あと鴨川叩いとけば受けると思うな。

 

 

GA−芸術科アートデザインクラスの最終巻を読み終えて

きゆづきさとこ展に行ってきた。

 

 

f:id:ming_mina:20160227224727j:plain

青山Gofaというところには初めて行ったのだが、頭に思い描いていたのだが上野の森美術館で開催された「蒼樹うめ展」だったので、あまりにも省スペースな画廊であることにびっくりした。猫の額ほどという表現がぴったりだった。秋葉原のZINに行ったことがあるだろうか?あれを2つ分つなげた程度の広さしか無いように思えた。そんなキャパシティに対して、初日の今日は、あまりにも来場者が多すぎた。それでも蒼樹うめ展の芋洗い状態に比べれば快適とは言えたのだが…。

この個展で展示されている作品は「GA」と「棺担ぎのクロ」のみ。きゆづきさとこ自身はスティング作品やラノベ等でもイラストを担当しているが(自分もユグドラ・ユニオンきゆづきを知ったクチだ)、今回はきらら関連のみであり、「きゆづきさとこ展」としては少し残念だった。

それでもきゆづきさとこの絵を、こういう場所で大きく見れたというのは、それなりに良い体験だった。まあ、観たことある絵ばかりではあったのだが。そりゃGAやクロが表紙になる度に買ってたもんなぁ、きらら。

f:id:ming_mina:20160227142422j:plain

ZINの特典絵を初め、きららの表紙以外の絵もわりと見たことがあるものが多く驚きが少なかったように思う。それでもきゆづきさとこQAコーナーには興味深い話があったり、描き下ろしがあったりと、見どころはあったと思う。平日にゆっくり見ることをおすすめしたい

 

芸術科アートデザインクラスは、当初は美術ネタの4コマとして始まったのだが、巻を進めるにつれて、より広範囲の学生生活を描いた作品にシフトしたかなぁと思う。それだけならきらら作品によくある題材なのだが、おれが他の作品と大きく違うと思っているのは、GAが回想の中にある学生生活感とでも言うのだろうか、未来の自分が過去を振り返って描いている、という雰囲気があることだ。

f:id:ming_mina:20160227150841j:plain

きっとGAの彼女らは進学し、就職し、身につけたスキルを以て何かしら仕事をしているんだと思う…忙しい毎日の中で、帰って寝る前にお酒でも飲みながらあのときは楽しかったなぁ(そして今も楽しい、これが重要)、とつぶやいている、そんな感じだ。

そんな感覚がダイレクトに現れているのがさめちゃん先生・殿先生の会話だと思う。最終巻の以下の台詞は鮮烈だった。

「描く事が競争になり、作業になり、進路になれば、いずれどこかで現実と理想の壁に挫折や諦めが過る瞬間は必ず来る」

「そうなった時に何が根底の支えになるかっていうと、やっぱり純粋に好きだった頃の"気持ち"だなんだと思うよね」

GA-芸術科アートデザインクラス-7巻 P96

 

 

GAという作品は、きゆづきさとこ自身の学生時代がベースになっているというのは有名な話だが、自身が純粋に好きだった頃を思い出しながら、GAを描いていたんだと思う。そして、この「好きだった頃の気持ち」というのは、何も美術に限った話ではなく、誰もが持っているものだ。だから「美術」という限定したテーマの作品ではあるが、そのほかのありとあらゆる別の「選択」をした人間にとっても、共通に響くものを感じられる、そんな作品なのではないかと思う。

 

最終巻は、美術部…3年生組の卒業と如月たちの進級で終える。先輩たちとの別れを描きながらも、新しい出会いの予感を思わせる爽やかな終わり方だった。

まだ棺担ぎのクロという作品は続いているが、こちらも終わりが見えて来ているようだ。今後、きゆづきさとこが、どんな作品を作っていくのか楽しみだ。

英語

1年近く英会話教室のGabaに通っていて、最近ようやくMyGabaなるサイトのコンテンツを予習復習に使うことを覚えた。無精者である。

そこに英文のニュース記事がコンテンツとしてあるのだが、これが面白い。英文のニュース記事はレベル別に分けられていて、ビギナーから熟練者向けまでレベルに応じて選ぶことができる。

今のおれの実力では、ビギナーやその1個上くらいの英文なら難なく読める。この難なく読めるというのは、詰まらず1回見ただけで意味がわかるという意味だ。読み返して文意を砕いてようやく理解するというものではない。それでも短い一文で随分多くの物事が表現できるということを知る。

日本語で考えてもそうだ。子供向けのニュースは子供向けに言葉を選んでいるが、どんなニュースだって表現できるではないか、同じことが英語で言える。最も英語圏の人間からすれば子供向け同然の内容なのだろうが…。

 

だがそこで気が引けてしまう必要もない。うちの職場に最近英語圏から赴任してきた外国人がいる。もちろん日本語なんて話せやしない人だ。その人が日本語の教本を日々読んでいるのを横目で見ている。ちらっと見せてもらったが、この内容がまさに「子供向けの日本語」なのだ。意味はわかるけど、こんな話し方する人いねえよ、ってやつだ。

なるほど、同じことなんだ、と気付く。ぶっちゃけこの教本レベルの日本語が話せるなら違和感は感じても意思の疎通は問題ないレベルと言える。逆に、おれも子供くらいの語彙と簡単な構文しか喋れないとしても、意志の疎通には困らないのだろう、と。

語学学習は、なんというか、こういう取っ掛かりのある部分から進めていくのが面白いなぁと思う。

KING OF PRISM by Pretty Rhythm

もう先月のことになるが、KING OF PRISM by Pretty Rhythmを観た。もうだいぶ人口に膾炙したようだし、何かしら感想を残しておきたいと思う、

KING OF―キンプリは、実にプリティーリズムだった、としか言いようが無い。女児向けだったものを、年齢層の高い女性向けにし、脇役だった男子にフォーカスを当て、さらに新キャラを大量に投入し、これまでのプリティーリズムとは似て非なるものになっていても、その根底にあるプリティーリズムらしさは損なわれていなかったと思う。

f:id:ming_mina:20160113003831j:plain

プリティーリズムらしさっていうのは何だろう。思うにふたつある。

ひとつめは、カオスなのに泣けてしまうってことだ。そうオーロラライジングドリームを観た時のような、泣けばいいのか笑えばいいのかわからなくなる感覚だ。

ふたつめは、プリティーリズムは負の感情を結構前面に持ってくるってことだ。敗北や復讐や情念を描いたりね、でも根本は人間賛歌というところも外せない。一作目のりずむちゃんみたいな憎む気持ちと友情が共存しているようなところ、ああいうのを描くのが珍しいなと。

 

キンプリはこのふたつがちゃんと含まれていたと思う。プリズムジャンプの吹っ飛び方は半端ない。無限ハグは実体化するわ、とにかく全裸になるわ、剣の一撃を腹筋で跳ね返すわ、糸で縛るわと、やりたい放題。理解不能なジャンプが続くと思えば、プリズム未成年の主張に至っては最早プリズムアクトである。でも、そんなむちゃくちゃな演出ばかりなのに心は熱くなっていくんだ。突っ込みどころの多さが気持ちのブレーキにならない。これがプリズムの輝きってやつなんだろうか。

そしてとうとう言っちゃった、女児アニメでは到底言えない台詞「殺す!」。親の遺産を引き継ぎ、権力を握ってもなお一人の人間の破滅を願う法月仁という男は一体何なんだろう。これまで裏設定だった聖と異母兄弟という設定が拾われたキンプリ世界ではここまでストレートな憎悪が描けるのか、と。この男に救いはあるんだろうか、と観ていて思ってしまった。

 

そんなプリティーリズムらしさがきっちり含まれていた上で、主人公の一条シンがプリティーリズムの主人公だってのがいい。正直不安だった。レインボーライブのスピンオフでボーイズの話をやること自体はともかく、新キャラてんこもりで大丈夫なのかと。主人公まで新キャラで大丈夫かと。

でも、シンは間違いなくプリティーリズムの主人公だった。彼はプリズムショーを知らない少年だった。なのにプリズムのきらめきを知り、それを伝えようとする。過去作の主人公もみんなそうだったように。だから、シンは主人公でいいんだ。あいらやみあ先生やはぴなる店長と同じなんだ。

「プリズムショーを初めてみた時の気持ちを覚えていますか」彼は問う。この映画のキャッチコピーだ。「プリズムショーは人を笑顔にするものだ」そうだった、忘れていた。プリズムショーを見ていた時、俺たちはいつだって笑顔になってたんだ。

この映画はその気持ちを思い出させてくれた。ありがとう。

 

惜しむらくは、この作品は映画ではなく、TVシリーズで見たかったことだろう。他のキャラのジャンプだって見たいぞ。もっと掘り下げても欲しいし。まず続編ありきだろうが、ここで捨てるには惜しいキャラクターたちだった。