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艦これアーケード

……卓上に並べられたエントリーシートを確認する。自分の名前よりおおよそ3人ほど上までチェックが付けられている。……自分の番が回ってくるまで、あと20分ほどだろうか。

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駅前の商業施設の地下2階にあるゲームセンターは、今日も提督たちで混み合っていた。先月4月26日から艦これアーケードのためにこのゲーセンに通い始めて、約1ヶ月経った。稼働当初は物珍しさから混み合うことは予想していた。だから連休を挟めば少しは客足も遠のくかと思いきや、今週末もお昼前には70人以上がプレイ待ちと、活況ぶりは全く変わっていない。

予想通り20分後―名前が呼ばれる。台に付く前にもう一度エントリーシートを見る。エントリーシートに並ぶ提督名。……稼働当初はみんなエントリーシートに自分の名字を書いていたというのに……。提督たちも慣れないゲームセンターにもいつの間にか適応していたようだ。

 

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Aimeカードを筐体にタッチし、ゲームにログイン。300円を投入して900GPを購入。ほどなくロードが終わり、母港の執務室が表示される。いつもの母港の音楽が流れ、上品な衣装に身を包んだ黒髪の艦娘に挨拶される。現在の旗艦は飛鷹。現時点でうちの主力航空戦力だ。

まずは開発を行う。……ブラウザでもそうだったが、艦これの初期というのはひたすら強い航空機の開発に明け暮れるものだ。アーケードでも開発や建造はブラウザとほぼ同一のルール下にある。投入する資源量を選択してタッチ。それの繰り返し。……ああ、開発を行うなんて何年ぶりだろう、と。

そういえば、ブラウザゲームのほうでは、もう長いこと開発を行っていない。なぜならもう必要なものは開発してしまったからだ。デイリーをこなす意味はあるだろうし、改修を本気でやるのなら複数個開発は必要だが……おれはそういうのを少し面倒に思っている。

……今日の開発では彩雲と紫電改二が出た。……ついてる。幸先の良いスタートが切れたので、早速「出撃」をタッチする。目指すは2−4。2−4には、これまで2回挑戦し、2回とも撤退の憂き目に合っている。今度こそは、とレバーを握る手にも力が入る。

2−4はそれまでのステージと比較して長丁場のステージだ。作戦時間も6分30秒。行く手を阻む敵艦隊も相当数おり、まともに戦っていればボスに辿り着く頃にはボロボロになっているだろう。このステージは、ブラウザのほうでも初心者の壁として立ちはだかっていたが、アーケードでも同様にこれまでのプレイングの総復習と言える。それでも、ある程度自分の操作で戦闘を回避することができるから少し難易度は下がっていると思うけれど。

 

索敵。敵を発見。航空攻撃。以前は航空機の切り替えにすら手間取っていたものだが、今では慣れたものだ。2−4に出現する程度のヲ級であれば烈風と紫電改二を載せた飛鷹で十分押さえられる。躊躇せず航空攻撃を続ける。

やがて敵本隊と接敵。構成は戦艦×4、駆逐×2。戦闘開始直後の航空攻撃で駆逐艦を撃沈。同時に大きく舵を切ってT字有利を狙う。距離が「遠距離」レンジに入ったことを示すラインの内側に入れば戦艦の射程だ。……しかし敵も戦艦。「遠距離」レンジに入った瞬間に砲撃の警告が飛んでくる。こちらの陣形は単縦陣……レバーを全開にして回避。…敵の砲撃がそれたことを確認してこちらも砲撃。小ダメージ。流石に戦艦は固い。

その後も距離を縮めながら砲撃戦を繰り返す。途中で敵の砲撃を避けきれずに被弾し愛宕が大破するが、他艦はなんとか小破以下で持ちこたえる。こちらも敵の駆逐艦を含む3艦を撃沈。残り2戦艦にも小破と中破を与えた。そこで作戦時間が尽き、夜戦へ突入となった。

このゲームでは、夜戦とはロスタイムだ。昼間倒しきれなかった敵艦隊を、たった20秒の間に倒さなくてはいけない。ゲームの仕様上、戦艦は一度砲撃してから再度砲撃できるまでのクールタイムが非常に長い。20秒ではせいぜい2回の砲撃が限度だ。夜戦で特に火力の高くなる重巡の一人は大破して夜戦に参加できないし、飛鷹も夜戦に参加できない。少し頭数が足りない。

夜戦開始直後はいきなり中距離からのスタートとなる。開始と同時に全艦同時攻撃。目押しは外さない。中破艦を撃沈。残り1艦。

夜戦では回避している余裕がないから敵の反撃を甘んじて受ける。飛鷹が大破したが、夜戦には影響ないと割り切る。残りカウントは2秒。再装填。照準を合わせて発令ボタンを叩く。砲弾が尾を引いて敵に吸い込まれて……クリティカル。撃沈。やった。

主力艦隊殲滅とデカデカと表示されて、ちょっと目に眩しい。……南西諸島は生憎の曇り空で暁の水平線は拝めながったが、晴れやかな気分だった。

 

 

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……今更説明も不要だろうが、艦これアーケードは、ブラウザゲームである艦隊これくしょんを、セガアーケードゲームとして生まれ変わらせた作品だ。公式二次創作的と言えるものだが、流石セガはゲーム作りの老舗と呼ぶべきか、爽快感とやりごたえを合わせ持つ作品に仕上がっている。

ブラウザゲームの方は「運ゲー」と揶揄されることもあるくらい、確率の揺らぎをどこまで制御できるかが攻略の論点であることは間違いない。その派生であるアーケードも運要素は無いと言えない。T字有利をとって全艦砲撃でもカス当たりもあればクリティカルが起きるときもある。

……それでも。操作も砲撃も回避も、自分の意志で出来るのが嬉しい。戦況に合わせたリアルタイムな陣形変更が楽しい。距離を一気に詰めるのにワクワクする。そして、何より、艦娘の一挙手一投足が可愛い。だから、みんなして艦これアーケードを長時間並んででもプレイするんだと思う。

実のところこの感覚は、初めて艦これに会った頃の気持ちに近い。懐かしい感覚だ。

艦これアーケードは間違いなく艦これというコンテンツの中興の祖となる存在だと思う。このゲームの稼働を起点に今後も粘り強い展開を望みたい。