ツインテールの吸血鬼はお好きですか

Do you like a twintail vampire ?

ハミダシクリエイティブとか

去年感想書いてたんだけど、下書きのまま残してたのを見つけたので、ちょっと修正して書いておく。

 

 

自分は昔のエロゲーマーで、現代エロゲには詳しくない。

かつてのように葉鍵だ型月だと騒いでた時代も遠くなり、「エロゲは衰退しました。」議論に参加しては、やんちゃしていた時代を懐かしむような人間になってしまった。エロゲが表現の最先端の時代は間違いなくあったが、今はそんな時代ではない。そう思っている。

…という前段もあるんだけど、やっぱり時々エロゲの情報は収集していて、2020年9月発売の「ハミダシクリエイティブ」にひかれ、プレイした。アンテナに引っかかったのは、その手のコミュニティで極めて評判が良かったからだ。これは運命だと告げていたので、即トレーダーにダッシュしてきた。この直感はあたりだった。

まどそふとのゲームは初めて。前知識は以前同ブランドの「ワガママハイスペック」のアニメをやっていた記憶があるといった程度だ。

本作のキーワードは「突出した才能」と「不登校」だろうか。このゲームのヒロインたちは「不登校」の状態にある。だが、それを補って有り余る「才能」に満ちているため、そもそも登校する積極的理由もないというのが本作の面白いところであり、テーマでもある。 こういう天才系のヒロインは一作に一人くらいならままあると言えるが、全員というのは珍しく、面白い。そしてその才能のあり方も現代的だ。ヒロインはそれぞれ「声優」「小説家」「イラストレーター」「Vtuber」をやっている。Vtuberがあるのが今風だ。

そしてストーリー。不登校を題材としながらも、不登校に至る人間の性根を叩き直すといった説教じみた展開は一切なかった。なぜ学校に行かなくてはいけないか、なぜ人間と関わらなくてはいけないか、というところを問い直している。それぞれのヒロインがそれぞれの結論を出すのだが、どれも個性的で面白かった。

 

本作をプレイして一番すごいなぁと感じたのは、SNS描写だろうか。Twitter(作中では別名だが)への投稿だったり、リツイートしたり、炎上したり、炎上の背景にある感情が、いちいち普段自分が感じているものと近かった。

お世話になってる店に閑古鳥が鳴いている。よしバズらせて宣伝だ!というエピソードがあったりもする。これも今ならではの話じゃなかろうか。ついには「エゴサをするな」とヒロインの一人が言い出したときには、思わず爆笑してしまった。

いや…非常にリアルだ。現代を描くなら、このくらいの描写はもはや必須だろう。オタクを描くにせよ、動画やVtuberを見るのは既に当たり前のオタクシーンなのだ。

 

でも、一番好きなのはこのシーン。

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エロゲ…に限らず恋愛劇というのはただ単に好きあって付き合うだけにとどまらない。どんな創作だって恋愛を描くなら、ドラマチックにするために様々な出来事を振りまくものだ。それをこのセリフは一発で破壊する。痛快だ。まあだいたいイチャイチャした展開が続くんだが、それもまたよしだ。

ライターの名前は存じあげないが、テキスト・シナリオのレベルは高いように見受けられた。キャラクターもかわいい。ボリュームも短すぎず長すぎず、ちょうど良いと感じた。4人ヒロインで20シーンなら最近のエロゲとしては標準的な分量とも言える。あまり偏執的なフェチシーンもなかったので、ライトなエロゲに分類されるだろうか。

とにかく、とりあえずサクッと面白いエロゲをやりたい、という人にはおすすめできるかな。

 

それにしても、最近はヒロインのASMR音声を売り出していたりするんだなぁ…エロゲ会社の音声商売は本当増えたなぁ…。