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KING OF PRISM by Pretty Rhythm

もう先月のことになるが、KING OF PRISM by Pretty Rhythmを観た。もうだいぶ人口に膾炙したようだし、何かしら感想を残しておきたいと思う、

KING OF―キンプリは、実にプリティーリズムだった、としか言いようが無い。女児向けだったものを、年齢層の高い女性向けにし、脇役だった男子にフォーカスを当て、さらに新キャラを大量に投入し、これまでのプリティーリズムとは似て非なるものになっていても、その根底にあるプリティーリズムらしさは損なわれていなかったと思う。

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プリティーリズムらしさっていうのは何だろう。思うにふたつある。

ひとつめは、カオスなのに泣けてしまうってことだ。そうオーロラライジングドリームを観た時のような、泣けばいいのか笑えばいいのかわからなくなる感覚だ。

ふたつめは、プリティーリズムは負の感情を結構前面に持ってくるってことだ。敗北や復讐や情念を描いたりね、でも根本は人間賛歌というところも外せない。一作目のりずむちゃんみたいな憎む気持ちと友情が共存しているようなところ、ああいうのを描くのが珍しいなと。

 

キンプリはこのふたつがちゃんと含まれていたと思う。プリズムジャンプの吹っ飛び方は半端ない。無限ハグは実体化するわ、とにかく全裸になるわ、剣の一撃を腹筋で跳ね返すわ、糸で縛るわと、やりたい放題。理解不能なジャンプが続くと思えば、プリズム未成年の主張に至っては最早プリズムアクトである。でも、そんなむちゃくちゃな演出ばかりなのに心は熱くなっていくんだ。突っ込みどころの多さが気持ちのブレーキにならない。これがプリズムの輝きってやつなんだろうか。

そしてとうとう言っちゃった、女児アニメでは到底言えない台詞「殺す!」。親の遺産を引き継ぎ、権力を握ってもなお一人の人間の破滅を願う法月仁という男は一体何なんだろう。これまで裏設定だった聖と異母兄弟という設定が拾われたキンプリ世界ではここまでストレートな憎悪が描けるのか、と。この男に救いはあるんだろうか、と観ていて思ってしまった。

 

そんなプリティーリズムらしさがきっちり含まれていた上で、主人公の一条シンがプリティーリズムの主人公だってのがいい。正直不安だった。レインボーライブのスピンオフでボーイズの話をやること自体はともかく、新キャラてんこもりで大丈夫なのかと。主人公まで新キャラで大丈夫かと。

でも、シンは間違いなくプリティーリズムの主人公だった。彼はプリズムショーを知らない少年だった。なのにプリズムのきらめきを知り、それを伝えようとする。過去作の主人公もみんなそうだったように。だから、シンは主人公でいいんだ。あいらやみあ先生やはぴなる店長と同じなんだ。

「プリズムショーを初めてみた時の気持ちを覚えていますか」彼は問う。この映画のキャッチコピーだ。「プリズムショーは人を笑顔にするものだ」そうだった、忘れていた。プリズムショーを見ていた時、俺たちはいつだって笑顔になってたんだ。

この映画はその気持ちを思い出させてくれた。ありがとう。

 

惜しむらくは、この作品は映画ではなく、TVシリーズで見たかったことだろう。他のキャラのジャンプだって見たいぞ。もっと掘り下げても欲しいし。まず続編ありきだろうが、ここで捨てるには惜しいキャラクターたちだった。