連休 四日目

　一週間以上経って連休のことを書いたりもする。

　連休四日目、俺は実家に戻っていた。その日、俺は高校の頃の部活の先輩たちに誘われカラオケに行った。

　高校の頃、俺の所属していた部活動は非常に駄目な人たちばかりいた。その頃既にアニオタの入り口に立っていた俺は、その人たちに巻き込まれる形で駄目な方に駄目な方に落ち込んでいった。当時立ち上げていた日記サイトのログを見返すと痛々しくてたまらない…まぁ今でも大してかわらんか。
　卒業後しばらく会ってなかったものだから、その人たちがどんな風に進化（あるいは退化）しているのか、心配だった。結論として心配は杞憂で、10年ほどの時間により駄目な方に進化していた。普通いい大人になったら卒業しちゃう人もちらほら出てくるんですけどね…。

　よくあるじゃないか、オタが濃い話ばかりするものだからどうも入り込めない一般人とかいう図。ヌルオタでもいいや。その日の俺は完全に一般人だった。ガンダムではシャアが一番好きです！と言っちゃうようなヌルさだった。自分が如何に浅薄に10年を過ごしてきたか、痛感した。
　俺はヌルいなりに、それなりに深みを見てきたつもりだった。が、それは完全につもりだった。何かを捨てて本気で取り組んでる人たちはガチすぎる。自分の蓄えをゲームとアニメとTCGに費やし、ほとんどの余暇をネトゲに費やすような人…彼らに敵いようがない。

　再会して目の前で繰り広げられる会話を聞いていると、そんな人たちとカラオケをするのが恐ろしくなった。一体何を歌えばいいのか。この10年に俺が蓄えた持ちネタで対抗できるのか。直感で感じたのは、ハルヒやけいおんを歌ったら即死だと言うことだ。
　彼らは本当幅広かった。昭和の特撮から現代の萌えアニメまで。テッカマンブレードからまかでみWAっしょいまで。ミクオンリーから軍歌まで。カオスすぎるだろ。
　しかも歌唱力まで半端ねえ。Spiral（angela／アスラクラインOP)を特撮ソング風に歌うなんて芸風を持った人がいた。確かに知らない人が聞いたら新しいライダーの主題歌にしか聞こえねえものだった。完璧に自分の歌にしてた。
　In My Dreamを原曲キーで歌う人がいた。いかつい男だぞ。終盤のさらにキーが上がるところまで完璧に歌ってやがった。

　…聞くところによると、最近は週に一度くらい集まってカラオケってるのだとか。…そりゃ上手くなるわな。…俺はずっと大阪だとか、遠くにいたから、そういう会合があるのを知らなかった。

　俺って本当に薄いのよ。アニソンとか言われたら、せいぜいOPやEDしかわからない。挿入歌とかイメージソングまで把握してないよ。ましてやドラマCDの主題歌とか知るわけもねえ。
　とりあえず、Paradise Lostが刺さって良かった…ぐらいの薄さだ。基本的にノリのいい曲はウケがいいらしい。

　そんなカラオケが6時間続いた。終わったあとは、放心状態だった。アニソンオンリーなのに、これほどわからない曲だらけってのはあまりできない体験だ。針のむしろみたいな時間だった。やはり先輩は格が違った、とあらためて畏敬。

　…ここ数年オタっぽいヤツとカラオケ行くと、高確率で長門のキャラソン歌われるので、なんだかなぁ、と思ってたんだけれど、今考えれば全然マシ。むしろそのぐらいのヌルさが俺にとって居心地いいのかなぁと思った。