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西海の護り 佐世保

佐世保に行ってきた。もちろん佐世保鎮守府巡礼なわけですが。

最早説明不要な感があるが、佐世保は旧軍時代から続く軍港の街だ。かつてはただの漁村であったが、明治以降鎮守府が置かれたことにより大きな工業都市として発展した。呉や横須賀と似たような経緯であるな。

現在も長崎県で長崎市に次ぐ第2の都市として栄えている。名物は駐留する米軍より伝えられた佐世保バーガーだそうだ。

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他の都市と同じくこの街も戦時下での空襲や戦後の進駐により、当時の面影が残っている場所は少ない。

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例えば佐世保橋。 当時は市街地と軍港を隔てていた橋だというが、現在は撤去されており、一部が遺構として残されているのみだ。

佐世保橋のそばには佐世保鎮守府凱旋記念館がある。

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設立当時は軍の式典用の施設として使用されていたらしい。戦後米軍がこの建物を接収し、劇場として使用。その後は佐世保市に返還され、市民文化ホールとして長らく使用された。現在は改装中…だが、まだ工事が始まっていないため中の見学はできる。

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いかにも劇場という感じ。地元の小学校や中学校の児童がよく使っているそうだ。f:id:ming_mina:20131214104403j:plain

 

このホールには2階部分があるが、ここは戦後に米軍が劇場として使用を始めた際に増設した部分だとか。この2階席にお偉方が座ってステージを眺めていたんだとか。

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柱の部分に注目されたい。ここにある輪っかはかつて何らかの燭台が掛けられていた跡だとか(管理人談)。旧海軍時代の式典で使用されていたのだろうか。f:id:ming_mina:20131214103608j:plain

建物はかなりボロボロ。壁や天井のあちこちがはげ落ちている。一応重要文化財らしいのだが、予算があまりまわっていないのか…。改装も今年の10月には始める予定だったのにまだ実際には始まっていないという…。

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 海上自衛隊佐世保史料館。セイルタワー。立派な建物である。幕末から日本の海防がどのように発展してきたかを時代ごとに解説している史料館だ。当時の資料や遺品も数多く収められている。

同様の施設は呉や横須賀にも存在する。呉だと大和ミュージアム、佐世保だと戦艦三笠の中に同様の施設があるかな。大和ミュージアムは呉に特化しており、三笠は日露戦争に特化しているところがあるが、こちらはわりとフラットに日本全体のことを説明している感じがする。逆に佐世保佐世保していないかな。時代毎に活躍した艦船が模型付きで並べられているので図鑑をめくる感覚で歴史を学ぶことができる。戦後の海上自衛隊の話もしっかりあるので、現代までの流れを知るにもいいんじゃないかな。

ちなみに艦内は写真撮影禁止だったりする。

 

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佐世保鎮守府の前門。建物はもう無いみたいだが、門の部分だけは現存。今でも自衛隊の地方総監部がある。ちなみに地方総監部の反対側に米軍基地がある。このあたりは軍事施設が集中している。

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佐世保の近代化を語る上で欠かせないのがこの250tクレーンだ。1913年に作られたということでなんと100周年。未だに使用されている。戦艦武蔵の艤装にも使用されたらしい。

ちなみに長崎市三菱重工の造船所にも似たような古いクレーンがあるのだが、あちらは明治時代に建造されたもの。こちらは大正時代だから、微妙に若い。でも戦争をくぐり抜けて現存し、現在も使用されているという点ではどちらもすごいのだ。

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あちこちに旧海軍の施設が残る。赤レンガ倉庫が立ち並ぶ一角がある。自衛隊の管理下なのでもちろん入れないのだが…。舞鶴なんかは観光施設としてこのような施設を流用しているようなんだけどね。

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このようにクレーンが立ち並ぶ光景を見ると鎮守府だなぁという感じがする。呉もこんな感じだったな。

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SSK…佐世保重工業の工場の横をずっと歩いていると古そうな建物がたくさん立ち並んでいる。どれだけが戦前からあり、どれだけが戦後に立てられたのか…判断はつかないが。

 

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佐世保では海上自衛隊が毎週土日に艦船の一般公開を行っている。f:id:ming_mina:20131214144957j:plain

訪れた日に公開されていたのははるゆき(写真右のほう)。竣工から30年。もうすぐ退役する古い護衛艦である。

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艦船見学は艦の細かい部分までつぶさに見ることができるのが良いところだと思う。しかし、呉といい一般公開されるのはだいたいこのくらいの年次の船ばかりで…あんまり最新鋭を公開できないし、仕方ないのかもしれないが。

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たまたまこの日は潜水艦もきていた。潜水艦は横須賀か呉が停泊地だから、かなり珍しいそうだ。そうりゅう型潜水艦のそうりゅう。

f:id:ming_mina:20131214150042j:plainそれにしても潜水艦は大きい。海に沈んでいるところも合わせれば護衛艦とタメ張る大きさなんじゃなかろうか。

 

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佐世保の湾を望む。

 

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さて、佐世保を語る上で欠かせないのは旧海軍墓地の存在だ。ここは旧海軍に関係し、命を落とした約17万柱を弔う墓地だ。

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この場所の雰囲気は実際に訪れて感じていただきたい。あちらこちらに色んな軍艦で亡くなった人々の慰霊碑が立てられている。ミーハーな気持ちでいったというのは正直なところだが、碑文に書かれた人の名前を読んでいくにつれて、どんどん気持ちが重くなっていくのを感じる。

重い。どんな気分で亡くなったのだろうか。そんなことを考えさせられてしまう。

この墓地の上には児童公園がある。墓地の直ぐそばの公園で児童が遊ぶ。とてもやかましいし、不謹慎なのかもしれないけれど、そんな子供たちが遊ぶ場所こそ英霊が守りたかった世界なのかなぁとも思うのだ。

 

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佐世保を見下ろす弓張岳から夜景を観る。ここは各種軍港の様子を一望できるスポットだ。港に軍艦が止まっているのが見える。長崎と多少規模は小さいが、佐世保の夜景も綺麗だった。昼間なら九十九島も見えるとか。

 

駆け足だが、佐世保の記録を残す。呉と同じく、旧海軍の雰囲気を感じるとともに、ただ歴史に身を委ねてるだけじゃなく、新しいものを生み出し続けている生きてる街、そんな雰囲気を感じられた。