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真・女神転生ストレンジジャーニー

 

真・女神転生 STRANGE JOURNEY(ストレンジ・ジャーニー)

真・女神転生 STRANGE JOURNEY(ストレンジ・ジャーニー)

ストレンジャーとの出会い

 俺は女神転生シリーズにほとんど触れたことのない人間だ。唯一プレイしたシリーズはファミコン女神転生IIだったろうか。ずいぶん昔のことだからほぼ覚えていない。
 そんな俺が外伝であるペルソナシリーズに触れたことがきっかけとなり、原典である女神転生シリーズにも興味を持つようになったのだから、アトラスも意外と狡猾に思える。

 真・女神転生 STRANGE JOURNEYはP3P発売の一月ほど前にニンテンドーDSで発売されたRPGだ。調べたところによると、シリーズ5年ぶりの新作ということらしい。ペルソナシリーズを始め、外伝的な作品は数多く出ていたので、外から見ている分には活気のあるシリーズに思えていたのだが。「本編」は久々ということで、Webのあちこちでも"金色のバケツ"に関する話はよく見た。端から見ると他のシリーズ作品よりも盛り上がっているように見えた。


 http://www.4gamer.net/games/095/G009573/20091204068/
 "尖った"という表現をよく見かける。昔から続いているシリーズだし、ファンも濃い人が多い印象。したがって尖っていればいるほど喜ばれるのだろう。
 しかし、俺のようなご新規さんには、正直言ってこのパッケージ絵は"無い"。完全にわかっている人向けすぎるからだ。世界樹の迷宮ぐらいのキャッチーさがあればタイトルを知らない人でも手を取るかもしれないが、このバケツを見て買おうという人がはたしてどれだけいるだろうか。


 そんなことを思いながらも俺はP3Pをクリアした後、即座にゲーム屋に赴きクリスマスセールで値下げされていた本作を入手した。こんなマニアックで萌えの欠片も無さそうなゲームに手を出したのは別に硬派ぶりたいからじゃない。ペルソナの原典が知りたいから、そして何よりもRPGがやりたかったからだ。

中身はけっしてマニアックじゃない

 経緯がそんなだったから中身も相当に不親切なのだろう、と思ってプレイ開始したのだが、その"期待"は裏切られることとなった。案外親切なのである。戦闘にせよ行動にせよ、初めて行うときにはチュートリアルが必ず用意されているようだ。しかもいつでも読み返すことができる。「ファンなら当然わかるよね?」という制作者の勝手な思い込みで不親切になっているなんてことはない。
 正直最近の俺はマニュアルを読まない。マニュアルを読まなきゃダメなゲームなんて死んでしまえとすら思っている。ゲームを中断してまでゲーム世界を理解する気なんてさらさらないからだ。だからきっちりとチュートリアルが用意されていることに感動さえした。

 何より親切に感じたのはセーブポイントの多さだ。古風なRPGがウリにしている不親切さの代表と言えば長いダンジョン&セーブなしだから、この措置は非常にユーザーフレンドリーだ。
 本作ではダンジョンに存在する「ターミナル」を用いることでセーブ&帰還を行うことができる。ターミナルの設置箇所はかなり多いように思う。しかもボス直前にも設置されているという親切ぶりだ。
 この「ヌルさ」には否定的な意見もあるだろうが、遊びやすさ、という点では十分アリだろう。ボスで全滅したから何十分かけてもう一度同じ場所に行く、なんて手間は現代では認められないのだ。

重厚な魅力

 ストーリーは重い。南極に存在するシュバルツバースという未知の領域に遭難してしまう話だ。そこには神話的存在だった悪魔が現実にいて生き残った人々を襲っている。そんな絶望的な状況の中、主人公は悪魔を撃退し、そして何者からか送られてきた悪魔召喚プログラムを使用し、仲魔を使役していく。この未知の世界を調査するために、そして生き残るために。
 他のRPGと同様に世界を救うことが大きな目的なのだが、本作では何よりも「サバイバル」を強調していることが魅力的だと感じる。「世界が滅びようが、とにかくここから逃げたい」と作中の人物に語らせるように。

 音楽も重い。初めて降りたフィールドで流れる低い男声合唱。まるでラスボス直前のような荘厳さだ。ボーカル曲という点ではペルソナ3、4のフィールド曲と同じなのかもしれないが、全く違う感覚だ。
 サウンドはペルソナ3、4と同じ目黒将司氏なのだから、作曲家というものはすごいものだ。


 とまあ、初めて数時間程度でこのぐらいの感想が出てきた。まだキモである悪魔合体は使いこなしてないし、わからないことばかりだ。ただペルソナシリーズとスキル名やステータス異常、悪魔=ペルソナが共通しているため、イメージがつかみやすいのは助かる。そういう意味でもペルソナシリーズから還流してくるのは、アリなのだろうな。
 しばらく南極に潜ることにする。