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コミケで電子書籍を頒布してみた

はじめに

C85では、コピー本と一緒にコピー本の元となったPDFを頒布していた。

PDFを配ったのは、ひとえに"調子にのって写真満載で作ったら印刷でめっちゃ高い"ということが判明して、急遽方針を変換して内容をモノクロにしたことに対する補完のつもりだった。PDFはフルカラーだからだ。

そのとき脳裏にあったのは、サークル自転車操業が前にだしていた電子書籍「同人イベントに電子書籍を紛れ込ませる。」だった。

そこで学んだノウハウ?を元に今回電子書籍の頒布に挑戦してみた。実際に頒布にあたって思った感触とか、そういうのをつらつらと書いてみようと思う。

PDFをつくる

まず電子書籍の形式を何にするかというのが重要だと思う。昨今の電子書籍ではepub形式のものがあるが、PDFの普及率には勝てないだろう。ほとんどのOS環境で読むことができるし、タブレットやスマートフォンでも確実に読める。今後はどうなるか知らないが、現在のところ最終的な出力形式はPDFがいいと勝手に思ってPDFを配ることにした。

PDF作成にあたって使用したソフトウェアは「iBooks Author」。Mac使用者ならタダで使えるApple謹製の電子書籍作成ツールだ。「―おやちょっとまて?iBooks Authorで作った書籍はApple経由でしか売れないではないか?」と思った人もいるのではなかろうか。正しい。しかし、情報が古い。現在のEULAではこう描かれている。

(i) 著作物が無償で(無料で)提供される場合、お客様はあらゆる手段によって著作物を頒布することができます。

(ii) iBooks Authorを使用して作成された.ibooks形式のファイルを含む著作物が有償で提供される場合サブスクリプションベースの製品またはサービスの一環として提供される場合を含みます)、かかる著作物はApple経由でのみ頒布することができ、かかる頒布はApple (あるいはAppleの関連会社または子会社)との書面による別途の契約の対象となります。ただし、iBooks Authorを使用して作成された.ibooks形式のファイルを含まない著作物のコンテンツを頒布する場合には、この制限は適用されません。お客様は、お客様の著作物のコンテンツのすべての権利を保持し、iBooks Authorで作成された.ibooks形式のファイルが著作物に含まれない限りは、お客様はあらゆる手段によってかかるコンテンツを頒布することができます。

ひねくれて受け取らなければibooks形式でなければ自由に頒布してよいと書かれている。iBooks AuthorにはPDFでの書き出しオプションがあるから、PDFならライセンス的にも問題ないということになる。

実際iBooks Authorを作成ツールとして使ってみたら、多少どころかかなり癖があることがわかったりもしたので、本当にこのソフトが良いツールであるとは思えないのだが…とりあえず使えるものは使う。

 

PDFを配布する

次に考えるのはどうやってPDFを配布するかだ。一番楽なのはPDFをメディアに焼いて渡すことだ。ただし、たかだか10MB少々のファイルを650MBもあるCD-Rで渡すというのはどうかと思うし、最近のPCはそもそも光学ドライブが付いていないものもある。物理的手段なら次はUSBメモリかSDカードでの頒布もありえそうだが、印刷したほうが安く着いてしまうだろう。

結局のところ、オンライン配布が一番楽でかつユーザ利便性も高いものと思われる。でも今度はどうやってオンライン配布するかが問題になってくる。どこかのアップローダを借りるとか、Webサーバを立てるとか。自由に配布するならファイルをWebサーバのルートにでも置けばいいだけだが、何らかの認証を施すならBASIC認証で済ませていいものか、それとももっとこだわったシステムを作るかとさらなる問題が出てくる。

…こういった問題をひと通り解決してくれたのは、対面電書というサービスだった。このサービスでは、アップローダ機能と認証機能の両方を用意してくれている。認証はシリアル方式だ。アップロードしたファイルは発行された複数のシリアルと結びつくので、ある人のダウンロードと違う人のダウンロードを別個のものと扱うことができ、ダウンロード状況の確認やダウンロード回数の制限ができる。この場合、コミケではシリアルを教える(頒布する)ことにすればいい。こいつはいいと思って利用することにした。

なお、ここは前述のサークル自転車操業により運営されている。(ITmediaでもニュースになっていた)自身の理想の体現ということなのだろうか。

 

電子書籍を頒布する

コミケで頒布するに当たって、こんなカードを作った。

f:id:ming_mina:20140103002312j:plain

用意したのは紙の本とその元となったPDF(上記のシリアルカード)。紙の本につき1枚のカードを用意、さらに一応カード単独でも頒布することにした。

まず、そもそもこんなシリアルを書いたカードがスタッフによるチェックで通るのかという話だが、通った。初めは紙とカードは別の本として見本提出しようとしたのだが、スタッフからカードに付いて「中身出力したものありますか」と問われ、紙の本と同じ内容だと答えると「なら同じもの(一冊)でいいです」と言われた。

コミケの公式的な見解はわからないが、今回に限ってはそういうことだった。

 

電子書籍に対する反応

実際書籍を手にとっていただいた方の反応を見させてもらったが、やはり紙のほう反応が良かった。PDF版はiPadでサンプルを表示しており、さらに値札ではPDF版の方が安い価格とさせていただいていた(紙は300円、PDFのみは100円)が、実際は紙の本ばかり出て行った。頒布数が少なかったので標本数も少ないのだが、おそらく100件、200件と増やしても紙と電子書籍の併売するなら同じ傾向だと思う。

電子書籍をやりたいのなら、それのみを頒布するくらいの覚悟がないと、おまけ的なポジションに収まってしまうかもしれない。

 

 

今後どうしようか

紙の本に対する電子書籍の明確なアドバンテージとしては手軽にフルカラーが使えるというメリットがある。自分のような本に写真が多くなりそうな人間にとっては、コピー本の補完という点で非常に使えると思う。

けれど、たぶん紙の本を無くすのは難しいなぁとも思うし、次回参加するならやはり紙がメインとなると思う。

 

PDFを作って配るなんて軽く考えていたが、電子書籍も意外と深い世界であることを知った。上記が何らかの参考になれば幸い。ひとまず対面電書のような手軽に利用出来るツールを作成していただいた自転車創業さまに感謝。本当に助かりました。