獣の奏者エリン 最終回「獣の奏者」
いい最終回だった。
実況民なら誰しもが最終回には言う言葉だ。多くの場合、それは嘲笑のために用いられる。「いい最終回だった」はけしていい意味で使われるものではない。
しかし、時に本当の意味で「いい最終回だった」がつぶやかれる場合がある。その声を今日の「獣の奏者エリン」最終回で聞いた気がする。
俺は細かい考察はできねぇ。アニメーションの技術について論じることもできねぇ。けれど「私は生きたい」と叫ぶエリンさんには、心底すげぇと思わざるをえなかった。自らの命を絶とうとしたこともあった。エリンの存在がいてもいなくても国はうまくまとまりそうな雰囲気があった。そしてエリンもやるべき仕事はやり終えたと思っていた。大地を埋め尽くす闘蛇がエリンに迫っていた。
その局面において「生きたい」。エリンさんが生きたいと初めて叫んだ瞬間じゃなかろうか。
エリンを覆う闘蛇の影の直後の王獣のシルエットは神がかった演出だった。時間が止まった、という感じだった。絆か。そう絆の物語だったなこの作品は。最後に母と子に回帰する。あーいいね、そういうの好きだ、本当に好きだ。
初めてこのアニメのタイトルを聞いたとき、このキャラクターデザインを見たとき、このアニメを見たときに思ったのとは全く違った結末となった。まさかここまで大河アニメだったとは。一年を使って一つの物語を放送し続ける、今ではNHKぐらいでしかできない芸当じゃなかろうか。
一年間こんなに楽しませてくれるアニメを放送してくれたNHK、そしてスタッフ・キャストの方々にありがとうと伝えたい。
最後で流れるはスキマスイッチの「雫」。来るとは思っていたが、やはり来た。スキマスイッチは本当に良い仕事をしたと思う。