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夏祭り

俺はホワイトベリー世代だからまだ若い。


夏祭りを見てきた。見てきただけ。
お祭りってのは無性に楽しいもんだと思っていたが、今の俺にはもの悲しいモンにしか見えなかった。
何故ならそのお祭りに俺の居場所はなかったから。


夕涼みがてらに隣の市までサイクリング。そこで出会ったのがその夜祭り。でもお祭りってのは基本的に現地の人のもんだ。住民の、住民による、住民のための、お祭りだ。
俺はたまたまその日その時、偶然通りがかっただけのよそ者であり、そこは見覚えのある場所でもなければ声をかけるべき知人もいない。
夜だってのに小さな子供まで集まっていて、人が町の中心の神社にどんどん集まり、ますますにぎやかになっていく。俺はどんどん寂しくなっていく。軽トラの荷台に作った簡易山車が引き回されてる。でも俺には何もねえ。
あれだ、町の人ごみ方がぶつかって一人ぼっちってヤツだ。


いたたまれなくなってその場を去った。早く、俺の町に帰らなきゃ、と。


子供の頃のお祭りってのはむしょうに楽しいもんだった。標準的なしつけをされていたので、基本的に夜は外に出ることを禁じられていた。でも祭りの日だけは夜なのに出歩いても良くて、普段見られない夜の町であるとか、いつもは人っけの無い神社が人でごった返してたりとか、非日常感が凄くて、いつだって熱が出るくらい興奮してたのを覚えてる。
ああいう風に感じるのは普段見慣れてる場所で見慣れてる人が違った顔をしてるからなんだよな。