Fallout4レビュー「Fallout4は如何にFallout3から進化したか」
Fallout4の日本語版が12月17日に発売される。英語版は先月発売されており、英語と格闘しながらプレイしていた者としては、日本語でようやくゲームが理解できる待ちに待った日でもある。Fallout4は英語でも十分に楽しかった。しかし、簡単な会話であればまだしもストーリーの深い部分に関わるような複雑な会話になると、意味がすぐには理解できなかった、ということもまた事実だ。日本語版の配信により、より深くゲームに入り込めるようになることが喜ばしい。
さて、Fallout3はFalloutシリーズ7年ぶりのナンバリング新作だ。途中にNew Vegasという作品も出ているのだが、実は機会がなくてプレイできていない。(steamのライブラリには登録されている)おれにとっては久々のFalloutシリーズだ。
最初Fallout4に触れたときに感じたのは「あまり前作と変わっていないな」というものだった。しかし、つい昨日Xbox Oneの互換機能を用いて手持ちのFallout3をいまさらやり直し、実は長足の進歩を遂げていることを理解した。
おおよそ以下の3点に集約できると思う。
「アクション性の向上」
「パワーアーマーの扱い」
「風景のバリエーションの増加」
まず、大きな変化点の一つは「アクション性の大幅な向上」だ。
Fallout3は、あくまで一人称視点(三人称も可能)なRPGであり、武器が銃器メインであるものの、基本はそれまでのTESとあまり変わり映えしないものだった。多くのFPSゲームでは、Lトリガー(おれはXboxユーザーだからこう表現させてもらう)を引くことでエイムを行うが、Fallout3では視界が拡大されるのみであり、アイアンサイトをのぞくことはできなかった。(スコープ付きの場合はのぞくが)それに対して、Fallout4は、FPSとしてプレイできるほどのアクション作品に仕上がっている。エイムはもちろん可能となったし、移動のレスポンスもいい。銃撃戦を純粋に楽しめる作品になっている。
Falloutシリーズの特徴的なV.A.T.Sシステムを用いた戦闘も大きく変更されている。Fallout3はV.A.T.S発動時に完全に時間が停止し、無敵になったが、Fallout4ではスローになるだけで敵は動くし、ダメージも受ける。3は積極的にV.A.T.Sを狙うゲームだったと思うが、4は基本はリアルタイムでFPSっぽく戦い、ここぞというときにV.A.T.Sを発動するのが良いように思う。
次に、「パワーアーマーの扱い」も外せない変更点だ。
Fallout3のパワーアーマーはただの装備品だった。序盤からアーマー自体は結構手に入るが、装備には条件が必要であり、装備できないもどかしさを覚えている。このパワーアーマーは、トレイラーやゲームパッケージにもでかでかと描かれているくらいFallout3の象徴のような存在だが、実際に装備できるようになると、わりと普通の装備であり、そこまで見た目の印象から受けるような凄みを感じられなかった。
Fallout4でパワーアーマーには大きな変更が加えられる。それは決戦兵器としての役割だ。パワーアーマーは普通の装備と完全に別個の「乗り物」のような扱いになっている。一度乗り込めばユーザーインターフェースも完全に専用のものとなり、パワーアーマーに乗り込んでいるという実感を味わえる。装甲は通常の装備とは10倍防御力が高いというまさにケタ違いの硬さで、デスクロー2体相手に平然と殴りあえるほどだ。落下ダメージもなくなるので屋根の上や崖から飛び降りても無傷だ。
しかし、その代償として「フュージョンコア」という燃料がないとパワーアーマーは動かないようになっている。フュージョンコアは時々フィールドで入手できる貴重品となっている。フュージョンコア1個あたりのパワーアーマー稼働時間はそれほど長くない。そのためゲーム中常にパワーアーマーを着用できるようなバランスにはなっていない。
どこでパワーアーマーを着るのか、というのFallout4の戦略の一つになっている。
最後に、オープンワールドゲームとしては最も重要なことだと思うが「風景のバリエーションの増加」はありがたい。キャピタルウェイストランドを見てほしい。この荒野を!
それに比べてFallout4のなんと自然が豊かなことか。
都市部の雰囲気も格段に良い。
キャピタルウェイストランドよりも大気の具合がいいのか、快晴のときの空の青さもいい。核戦争後でも空はどこまでも青い。
天候の変化もある。一面に霧がかかったコモンウェルスも美しい。往年の大都市の面影が見られる。
上記3点が、おれが考えるFallout4の大きな進化点だ。どれもひとつのゲームとして面白さ、楽しさを深める方向で進化しているものだ。
ほかにも細かい変化はたくさんあって、人との会話シーンがきっちりとカットシーンっぽくなっているとか
死体やロッカーをのぞくとリアルタイムで中身がわかるとか
PC版でもXboxコントローラ差せばコントローラに最適化した操作ができるとか、スプリントできるとか、自分だけの拠点が作れるとか、様々な改良点・変更点がある。そのどれもが遊びやすさ、楽しさの向上につながっていると言える。
さて、ぐだぐだと書いていたら日本語版のリリースまで10分を切った。この駄文はFallout4をこれからプレイするすべての人に対して書いている。
ようこそウェイストランドへ。あなたのボストン旅行が幸多いものであることを祈る。