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5月に観たアニメ1:装甲騎兵ボトムズ

連休中に装甲騎兵ボトムズを1〜52話まで一気に観てしまった。あまりにも無計画にゴールデンウィークに突入してしまったものだから、持て余した暇にボトムズをあてがった計算になる。

装甲騎兵ボトムズ」と言えば、超有名ロボットアニメだけれど、実のところ通してみたことはなかった。CATVあたりで飛び飛びに観ていた記憶はあるのだが、一貫として観たことはなかった。だからストーリーもろくに知らなかった。あるいみ自分の素養をベースアップするいい機会ではなかろうか、とも。

…超有名ロボットアニメをこれまでろくに観ていなかったというのは…オタとしての素養を疑われることになるのだろうか。「…このくらい触れていて当然」と。おれは、そういう言葉は嫌いだ。おれはおれが好きなタイミングで何かに触れたい。だからこれは素養のためとかじゃない、単純にみたいから観たんだ。

 

話を戻すと、ボトムズはたいへん面白かった。1983年放映ということで今から30年前の作品で古いところも十分、冗長な部分もたんまりなのだが、それでも今でも通じる独特のオリジナリティが強く感じられた。歴史に耐える作品というものはかくあるものなのか、と再認識したものだ。

何が面白かったといえば、ロボットアニメなのにいきなり終戦から始まること。「アストラギウス銀河を二分する百年戦争〜」の語りから物語は始まり、「なるほどこの戦乱の中で生き残るストーリーなのかなぁ」と思っていたら、一話で終戦だよ。少なくともおれがこれまで触れてきたロボットアニメは戦争の開始が物語の発端であるものがほとんどだったと思うの。

でも終戦=戦いが終わりじゃない。戦争が終わったことでこれまで抑えつけられていた諍いが蘇ってくるものだ。このアニメはそんな終戦直後の混乱を描いてる。チンピラは街を襲う。軍隊崩れの武装警察は暴れる。内戦は起こる。終戦は次の戦いの始まりに過ぎない、ということを執拗に描いている。

 

広大な銀河宇宙が舞台でありながら、ほとんどキリコという一人の(元)兵士のことしか描いていないというのも面白い。敵もほとんど無名の兵士ばかりだし、明確なボスもライバルも一人くらいしかいなかった。

特に中盤までストーリーのキーとなっていた改造人間パーフェクトソルジャーも、結局キリコがその異常性・異能性を取り戻すためのひとつの因子だったあたりが最高に面白かった。常人以上の反射神経を持つ完璧な兵士であるPSとして生まれたイプシロンが常人ではあり得ない回復力を見せるキリコを目にして呟くセリフが象徴している「前からおかしいと思っていたが、あいつはタフすぎる…」PSのお前が言うなよ、とつっこんでしまったほどだ。

 

それにロボットアニメとして特異だなぁと思ったのはロボットの扱いだ…散々言われてるんだろうけれど。このアニメには「AT」と呼ばれる戦闘用ロボがいくつか現れるが、「ザク」だの「グフ」のような固有の名称で呼ばれることは全52話を通じてついぞなかった。どいつもこいつも「AT」としか言いやがらない。

しかもどれも量産機で見た目は同じ。主人公専用機なんてのものも無い。キリコも歴戦のAT乗りだけど…だからこそかATが壊れたらすぐに降りるし、そこらに落ちてるATとか敵のATを奪って乗り換えたりする。愛着があるんだか無いんだか。

つまり、キリコはATを完全に兵器として割り切ってるんだ、と。そんなロボアニメああるんだと。主役ロボ不在のロボアニメが成立するんだ…と思ってしまった。

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調べたら意外と当時おもちゃが好調だったらしい。当時のガキどもはませてやがるな。

 

ということで、一気に駆け抜けたボトムズ。こんなアニメならもっと早く観ていれば良かった。おれにとってボトムズは「勉強」じゃなく純粋にエンターテイメントだった。ただストーリーで未消化の部分も多少残る。結局何の異能者だったのか、とかね?2000年代後半に到るまで関連作品がリリースされているのだから、ストーリーでの未消化部分もそれらの作品群できっとある程度解消されているのだろう。…30年遅れで付き合ったのだから、性急に関連作に手を出す必要もあるまい。のんびりとそれらに触れていくことにしよう。さて、今度はスコープドッグのプラモでも買おうかなー。

 

 

作中で印象的だったBGMの「レッドショルダーマーチ」。今回初めて知ったのだが、サントラにも収録されておらず、21世紀になっても音源の無い曲だったそうだ。2007年くらいに初めてこの曲の正体が、昔の映画音楽からの引用であったことがわかったのだとか。放映から20年経ってもリアルに謎が残っていたなんて…歴史に耐えるアニメというのは、こういう伝説を持っているものなんだな。

Due Marines e un generale

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