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4月に見た映画1:シュガー・ラッシュ

「いつからゲームはこんなに暴力的になったんだ」

と、ラルフは呟く。80年にリリースされたFix it Felix !の敵役、暴れん坊として悪名高い彼も、最新の3DCGゲームにはついていけない部分もあるようだ。

 

…ということで、今更のようにシュガー・ラッシュ観てきた。スッゲェーコレマジスッゲェーってくらい面白かった。なんてーか…この映画はアラサー…それも30代以上のゲームが好きな人間に向けて作られてるんだなぁと、そう感じたね。

そりゃそうさ。ファミコンやそれより少し前からゲームを好きな人間なら誰でも知ってるような超人気キャラクターがたくさん出てくるのだから。パックマン、ソニック、クッパ、ザンギエフ、ベガ…。

でもね、この映画はレトロゲームをネタにすることで、おっさんの郷愁を煽って「あの頃は良かった」と思わせる映画じゃない。むしろ逆。現状についての強い肯定こそ、この映画の本質。今が悪いと思ってるのは、自分が世界をそういう風に見ているから。悪役は悪人じゃない。人にはそれぞれポジションがあって、それを全うすることは尊ばれるべきことなのだ、と。それがちょうど人生に迷いが出てきたアラサー近辺の世代に直撃するのさ。「おれはこのままでいいのか?」と。それに対してひとつの答えを示して見せる作品。だからおれは最後のラルフのセリフに涙してしまったんだ。ヒーローにならなくていい。誰か一人のヒーローになればそれでいいんだ、と。

 

 

それはそれとして、この映画は非常にヒロインのヴァネロペが可愛いかったことが印象的でした。「日本の原宿ガールを参考にしたよ」、とスタッフコメントであり、どこまで反映されているのかは知りませんが、一挙手一投足表情、すべてが可愛らしかったものです。日本的なかわいさを追求したとスタッフが言っていましたが、これがkawaii!ってやつなのでしょうか。

吹替の声は諸星すみれ。この子がヴァネロペの可愛さをさらに上の次元に押し上げていましたね。「それから〜?」とかの言い回しもいいし、ラルフとの掛け合いも絶妙でした。ラルフはあの山寺宏一氏が吹替なのですが、それに引けを取らないと感じました。

おれはアイカツやらおにあいやらGJ部やらでこの子を知りましたが、将来を楽しみにさせるものを感じます。期待の新人声優…新人って言っていいのかな芸歴10年というし。13歳なのに。今後応援したい声優の一人ですね。

 

ゲームネタもすごく上手い。細かく言うとネタバレになるけれど特に感心したのは以下。

・ベガが「まさかターボする気じゃないだろうな?」と問いかけるシーン。もちろんストIIターボを思い出させるのだが…これはある特定世代向けトラップでした。

・セガの超有名キャラの某クラッシュ時にばら撒くアレの音をED曲に取り入れていたこと。スタッフロールは最後まで見ちゃいましたね。

 

シュガー・ラッシュは本当すごい。ストーリーも大人でも楽しめるし、伏線の回収の仕方は巧みだし、ゲームの小ネタも細かいし、なによりキャラクターがかわいい。日本よ、これが映画だ。と言われたら、はいそうと肯定するしか無い完成度。アニオタはもちろん、ゲーマーは必見と言える作品でした。

 

…だからこそ、この映画が日本じゃなくてアメリカで作られたってのが悔しくもあり。何だよー日本のゲームばかりじゃねーかよー。コナミコマンドとかよー。