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今期アニメ感想2:GJ部 〜可愛いだけじゃダメかしら〜

「挑戦者」

関東の深夜アニメというのは基本的にTOKYOMXの寡占である。このアニメに力を入れすぎているテレビ局はその強力すぎるアニメ放映力によって周辺のU局を次々にアニメから撤退に追い込んでいるほどである。2013年1月、この独壇場に殴りこむチャレンジャーがいた。

その名は日テレ。主要局の中ではどちらかといえばアニメ力を入れていない方の局だ。オタ界隈で話題になりやすいラノベアニメ・萌えアニメはあまりなく、ずっと一般志向、アカギや宇宙兄弟、ちはやふるといった人気作を原作とした手堅いものが多いイメージだ。そんな日テレが今期深夜アニメとして送り込んだのが、GJ部である。

 

 

「日テレの狂気」

GJ部は、言ってしまえば特筆するところがないアニメだ。「GJ部という何の活動をするかわからない謎の部活で部員同士がおしゃべりしたりネタやったりするだけのおはなしです」と説明するだけで100点だろう。ジャンルとしては「日常もの」「部活もの」だろうか。昨今ではありがちなジャンルであるとも言える。

謎の部活という点では「ハルヒ」、あまり盛り上がりもなく淡々と日常を描くところは「けいおん!」から連綿と続くきらら4コマ系、ひたすら密室で話が進んでいくところや男女比からすると「生徒会の一存」がかなり近い。ちなみに「ゆるゆり」のスタッフであるらしい。正直に言うと、GJ部を構成する要素は、どれもこれもどこかで観た設定だと思わざるをえない。

例えば。「日テレがラノベ4コマ日常アニメへの参入を図っていて、その試金石としてGJ部の放送を決めた」、というなら、GJ部を創りだしたのはかなり理解していると言えるだろう。あんまりにも日テレらしくなくて、U局で放送していても違和感のないものになっているから。

 

 

「この作品は女の子の可愛さをお楽しみいただくため差し障りの無い会話をお楽しみいただくアニメです」

こんなことをいった作品は実際はかなり差し障りのある話ばかりしていたのだが、GJ部は正統な意味でこの理念を踏襲している。本当に差し障りがない。そして本当にかわいい。

前言撤回。特筆するべきことがひとつだけあった。GJ部はかわいさ全振りで作られている。

とにかくキャラクターがかわいいのだ。ビジュアル的なかわいさもさることながら、キャラクターのいじり方がほんとうに可愛い。ぶちょーはひたすらかわいいいきものであり、紫苑さんはあざといかわいさであり、恵ちゃんは天使で、きららさんは…きららは肉だった。

◯◯ちゃんかわいい!アニメは数あれど、それは作品の本筋ではなく要素のひとつとしてのかわいさであった。ここまで徹底的にキャラクターのかわいさとかわいさを表現するための演出までを徹底しているアニメはそうないと思う。というか、かわいさが本筋である。

 

 

「熟練のシェフの逸品のような」

このアニメは視聴者の気分を逆立てるようなことをしない。お話を盛り上げようとせんために大げさな演出を繰り出すようなことはない。キャラの言動がうざいなんてことは…まぁ、ない。過剰なオタネタもない。

結果としてこの手のジャンルとしては驚くべきほど淡白な印象を受ける。

日常モノとしては珍しく男がいるのだが、キョロ君は常時いじられるけど、ヘイトを稼いじゃうほど傲慢でも不憫でもない。「ギャップ萌え」という性癖が設定されているだけあって、基本的にかなり低姿勢なのが安心して見れる。

山もない谷もない。本当に日常を描くだけ。そして日常感を妨げる要素には容赦ない。骨の多い魚のすべての骨を取り除いてお出しされたような、そんなアニメだ。

 

「2軍のファンタジスタ」

このアニメは残らない、2013年1月にこんなアニメをやっていた、という記録を残すのみだと思う。でも、それ以上を求めていないし、それで十分なのだ。今という時間、楽しめればそれでいいのだ。GJ部とはそんなアニメだ。

GJ部(グッジョぶ) (ガガガ文庫)

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