王様の仕立て屋 25巻
王様の仕立て屋 25 〜サルト・フィニート〜 (ジャンプコミックスデラックス)
- 作者: 大河原遁
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/02/04
- メディア: コミック
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安い靴でびしっときめるのはまず無理な話である
許される範囲で最高のものを買うこと
本当に無理してでも買い求めるのは、別にむちゃなことない(サー・ハーディ・エイミス)
スーパージャンプで連載されている仕立て屋マンガもとうとう25巻を数えるまでになった。巻数が一桁の頃から読んでいたので、ここまで長く続いたことには結構感慨深い。
時間の流れで作風も少し変わってきている。初期は「スーツ界のブラックジャック」という感じだったが、近頃は「服飾ものの美味しんぼ」と表現したいくらい蘊蓄が多くなってきた。とは言っても、クラシックスーツなんてあまり縁のない世界の話なのでかなり楽しく読めている。
本巻はスーツでなく「靴」のお話がメインとなっている。元々靴職人を目指す"小動物"マルコが初期からレギュラーにいたこともあって、靴ネタは頻繁に取り上げられてきているが、ここまで集中的に扱ったのは初めてだろうか。靴の工法から手入れ、スーツとの合わせ方までいろんな蘊蓄が満載だった。
靴の作り方に「グッドイヤーウェルテッド式」とか「マッケイ式」とか「セメンテッド式」とか初めて知ったよ。
靴ってのはとっても大事らしい。たとえ上が決まっていても靴がダメならダメなのだ。わかっちゃいたけれど、ほとんど着た切り雀に、一足の靴を履き潰すまで履き続けるエレガンテとはほど遠い俺にはなんとも堪える話だ。
思えば靴なんてそれほど気にしちゃいなかった。履ければいいくらいの感覚だった。でも、読んだからにはちょっと意識したくなってきたよ。
そんな俺にぴったりの、「初心者向け既製靴の買い足し方」なんてのも本巻で取り上げられていた。
履き道楽でもない限り通勤用なら五足で十分(監修の片瀬先生曰く)
…その五足を揃えるために、冒頭のような「むちゃ」をしなくてはいけないのならとても辛いな。エレガンテへの道は険しいようだ。