カオスアニメ大全
1ヶ月ぐらい前に買ったもの。よくある「このアニメが面白い！」のアンチテーゼとして、正統から外れたあまり日の目を見ないアニメを取り上げたムックらしい。
あまり日の目を見ないアニメとは何か。端的に言えば萌えアニメだ。それも忘れられてそうなアニメだ。「天使のしっぽ」「コスプレ三部作」「マジカノ」「双恋」などなど。
巻頭の方こそ「マクロスF」に見る河森正治評だの「ブレンパワード」による白富野への変化だのが書かれてるけど、そのへんは月並みなのでスルー。このムックの一番の見所は六月十三評。
六月十三評
六月十三とは一体誰か。天使のしっぽだのワンダバスタイルだのムスメットだの、訓練された実況民には聞き覚えのあるタイトルを量産しているプロデューサー？だ。古くはセンチメンタルグラフティに関わってたらしいが、その時代のことはよく知らない。
彼の作品は「目の付け所は良いのに何かが決定的に足りない*1」という独特の作風を持つ。「一体それはどこから来るのか？」を、このムックでは彼の経歴や発言から探っていく。やたら作品に出たがるという自意識過剰、オタは金払いがいいから良い商売になるという持論など、あまり分析されてこなかった六月十三の真の姿が描き出されている。彼の作品に触れた俺には実に納得できる評価だった。
正直2009年にもなって、忘れた方がいい人のことを思い出すことになるとは思わなかったがな。
見所はそこだけで、あとはだいたいこんな感じ。
- コスプレイヤー
- 三部作全部見たらちょっと面白いよ！
- マジカノ
- ループの新解釈。楽園という地獄。
- 双恋
- オルタナティブじゃなくてこっちを取り上げるのがすげぇ。
このムック自体はどうよ
タイトル負けした内容。一般受けする内容とそうでない内容の両立を目指すあまり、立ち位置を見失った感じがする。B級萌えアニメ大全として出直すべきだったね。「カオス」アニメならそれこそ「おねがいマイメロディ」のようなカオス作品が入ってないのは片手落ちにもほどがある。萌え系のアニメを選ぶなら「光と水のダフネ」みたいな一件きわどいのにギャグ＆ほろりみたいな作品を混ぜておくべきだったんじゃねえかな。
