ツインテールの吸血鬼はお好きですか

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映画:ピクセル

ピクセルを観てきた。

 

正直言うと、おれはこの映画の対象年令じゃないのかもしれない。おれはこの映画がフィーチャーしている80年代アーケードゲームを体験していない。おれがゲームに触れたのは80年代後半のコンシューマ…つまりファミコンからだから、その時代を知らない。だから本作の伝えたいところがよくわかっていなかったのかもしれない。

だからなのかもしれないが、なんというか、おれはこの作品からゲームに対する「愛」みたいなのを感じ取れなかった。

 

 

細かいことなんだ。

この作品は、かつてゲーマーだったけど、今はパッとしない人間が、「ゲームの世界を借りて侵略してくる異星人」に唯一対抗できるって設定のはずなんだ。でも、その設定を有効に活用できてるとは思えない。

例えばVSパックマンだ。宇宙人が創りだした人を襲うパックマンに対抗するために、パックマンの敵であるゴーストとなってパックマンを倒す…という時点で、そもそも元のゲームと関係ないのだが、そのゴーストを何で代用するかと思ったら車で。えー、それゲームの腕とか関係なくドライビングテクニックのほうが重要じゃない?と突っ込む暇もなくナードのみなさんがどいつもこいつもジェイソン・ステイサム並に運転が上手でさ…。

いやさ、そんなところに突っ込む映画じゃないんだろうけどさ、こんなところが、この映画の悪い意味で「雑」なところだと思う。別に「パックマンの名人」を連れてこなくても運転の上手な人間にやらせればいいんじゃね、むしろレースゲームのチャンピオン連れてきたほうがいいんじゃね、って気になって。

ドンキーコングが完全に体力勝負になってるのもいただけない。筋肉番付のチャンピオンでも連れてきたほうがいいんじゃねえのか?って思っちゃった。あとハンマー投げるのはチートじゃねえのかよ。

ゲーマーならゲームのルールでゲームの腕で勝負しろよ、じゃなきゃ海兵隊のほうがよっぽど役に立つだろ、と。

 

そういう悪い意味で「雑」なところが、個人的に気になってこの映画自体なんかノれなかった。作中で触れていた「パターン」を読むとかそういう部分がゲームバトルに活かされているように思えなかった。

 

あと、ゲーム好きだった子供時代というのが基本的に否定的な扱いだったのも好きくなかった。ゲーマーなんて宇宙人が攻めてくるみたいな特殊な事情でもなければ役に立たねえよ、みたいな感じで。

 

この手の懐かしさを誘発する映画に必要なのは、「ああ、懐かしかったな」でなくて、あの頃は無駄じゃなかったという感覚と、あの頃気付けなかったことを気付くという自己肯定こそ大事だと思っているんだが、本作はどうだろう?

作中の人物はこの事件でどんな成長を遂げたんだろう?日常に回帰して彼らは前とどんな違う人生を歩むんだろう?税金が安くなった?女ができた?

…違うだろ、そんなんじゃないだろ。ゲームが好きだった自分が間違ってなかったって感覚だろ。これからもゲーム大好きでいたいって気持ちだろ。自分の仕事に対する誇りだろ。もう女とうまく言ったら一生パックマンとかやりそうにねえな、おまえら!

…そんな感じがどうも駄目だった。

あと二次嫁が三次嫁になって感動するなよ。解像度違ぇよ。

 

とまあ、なんというか、期待したものとは違った気がした。

パックマンが人を襲う!ってとこだけを楽しむなら、まあ楽しめるんじゃないかな。