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Battleship Girl -鋼鉄少女-

いいのか、この帯。

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艦これのアンソロジーの出版ラッシュがすごい。この1ヶ月で何冊出ただろう。さらに公式設定のマンガも複数の雑誌で始まっている。

アルペジオといい艦船擬人化の流れがキテル…というが、そもそも艦これ自身「後発」なのだ。アルペジオも…そして上記の作品も、数年前から存在していたわけで。そんなことに今さら気付く。土台はあった。火をつけたのは艦これであったとしても、そこまでに至る流れはあったのだ。それだけおれはこの業界のことを知らなかったのだろう。

 

ということで、「Battleship Girl -鋼鉄少女-」を読んだ。

Battleship Girl -鋼鉄少女- 1巻 (ガムコミックスプラス)

Battleship Girl -鋼鉄少女- 1巻 (ガムコミックスプラス)

 

 一番よくできた艦これマンガだと思いました。我ながらひどい感想だが。

 

本作の主人公は「雪風」。元になった同人誌からそうだったんだとか。どうして雪風かというと、本作の作者が台湾の人だから…なのかな。

WW2、日本が経験したほとんどの海戦に参加しながらも終戦まで生き残った雪風は、戦後中国に賠償艦として譲渡された。その後中華民国と共産党が争い始めて、中華民国側が台湾に逃げ出したとき、一緒に持っていったのが雪風。中華民国では艦隊旗艦も務めた雪風は、駆逐艦でありながら台湾にとっての軍艦の象徴…「大和」みたいなものなのだ。…なのかもしれない。

 

 

ともかく、本作。艦これの元ネタとなった点で一番大きいと思えるのは「生身で水上スケート」が戦闘の方法として採用されていること。艦これでは、艦娘はいったいどうやって戦ってるの?という話題がよく議論になる。提督によって様々な解釈があるが、海上を艦娘が水上スケートのようにすべって戦うというのが公式設定っぽいと思われている。本作はまさに水上スケートで戦闘しており、艦これの戦闘はここから想起されたものと思われる。

キャラの付け方は、艦これと異なっていて面白い。高雄が雪風たち駆逐艦の先輩として出張っている(アルペジオといい高雄はなんでわりといつもいるんだろうか?)ばかりでなく、神通が親分と呼ばれるほどアネキなキャラ付けであるところも違いが見られて。(艦これで言うと天龍にちかいのかな)

作品によって、艦の性格付けがこうも違うんだなぁと。

 

ただし本作は史実を下敷きにしたストーリーなだけあって、わりと死ぬ。柔らかい絵柄と裏腹に死ぬ。正規空母なんて揃った瞬間にみんな死んだよ、そりゃミッドウェーだからなハハハみたいな勢いで死ぬ。史実をもとにストーリー作ってるから仕方ないんだけど…先にあるのは破滅しか無いんだが…。

 

マンガマンガの合間に艦の説明やミリタリ的な解説もあり、よくわかる近代日本史としても使える内容となっている。艦これで初めて海の戦いを知ったおれみたいな新兵には読み物としても楽しめた。うーん、海戦も面白いんだなぁ。