6月に観たアニメ1:プリティーリズム・レインボーライブ #12「はばたけ!勇気の羽」
プリティーリズム レインボーライブの第12話が素晴らしかった。実況民曰く、「プリティーリズムらしい話」。全くそのとおりだと思った。
じゃあプリティーリズムらしい話とはどういうものなのか?その前に今回のお話について振り返ってみよう。
そもそもプリティーリズムというのは、プリズムショーというフィギュアスケートのような架空の競技を題材とした作品だ。少女たちがある時は交流し、ある時は競いあう。ダンスと歌とおしゃれ、それにちょっぴりラブをミックスしたような話。割と思春期にありがちな黒い部分も掘り下げているので、幼女向けアニメというより少女マンガみたいなアニメという方が正しいと思う。
今回は因縁のある福原あんと森園わかなというキャラクターの対決回だった。二人の確執は#8「男の勝負はダンスバトル」#9「プリズムライブは晴れのち嵐」でも描かれているのだが、12話でひとつの決着が着いた感じだ。
わかなはこれまで高圧的なキャラクターとして描かれていた。敵味方問わない挑発的な態度や言動。その自信を裏付ける高い実力…。しかし、本当は失敗を恐れるあまり一歩踏み出せない傷つきやすいキャラクターであることが描かれた。周囲の人間を煽っていたのは、そういう弱い自分を攻撃されないためだったのだ、と。
反面あんは、どうしてもわかなに勝ちたいと思っているが、自分でも実力がわかっている。どうしても勝ちたいという思いは強いが、現実に勝てるとは思えない。
この二人は対照的な描き方をされている。
わかなは、実力はあるが、周囲の人間たちにも安息を感じることができない。
あんは、実力こそ足りないが、支えてくれる友達や先輩がいる。
わかなは、失敗を恐れるあまり、完璧であるために3連続ジャンプを跳ばなかった。それが正しいと思い込んで。
あんは、勝ちたいから、成功するかわからない3連続ジャンプを跳ぼうとした。それが正しいと思い込んで。
わかなは、心の壁のため3連続ジャンプが跳べなかった。
あんは、心の飛躍で3連続ジャンプを跳ぼうとした。
結果として、実力のないあんは3連続ジャンプをきっちり跳べず、勝負には敗北したのだが、それでも彼女の挑戦は、挑戦から逃げたわかなにとって衝撃だったようだ。本当はわかなもあんのように演技したかったのだろう。だが、失敗したときの惨めさに耐え切れないこともわかっていた。
プリズムショーとしてはわかなの圧勝だったが、内心わかなはあんに負けたと思っていたのだろう。普段の人をコケにしたような口調が鳴りを潜めていたことがその証拠だ。
プリズムジャンプは心の飛躍。これはプリティーリズムの基本的概念だ。だから、心の壁があるかぎり飛躍はできない。この基本がきっちり示された回だった。だからプリティーリズムらしい、と多くの人が称したのだろう。
プリティーリズムは敗北を描くことが多々ある。1期からそうだ。そして敗北からはい上がっていくところもきっちり描く。
今回は、プリズムストーン側もエーデルローズ側も、きっちり乗り越えるための試練があるのは面白い。対決も単純な対決で勝ち負けなのではなくて、バックグラウンドも含めた勝負になっているのな。キャラクターの対比がすごく興味深い。
これをスポコン展開と呼ぶべきか。プリティーリズムらしい展開と呼ぶべきか。
…さて、次回は主人公なるとライバルのNo.1べるの対決。これまでふわふわしていたなるとなる店長が初めて現実を見ることになるようだ。1クールを使ったキャラクターの掘り下げは4クールアニメだけに許されたこの贅沢。さて、1クールのシメとなる次回の対決、気になる。