ツインテールの吸血鬼はお好きですか

Do you like a twintail vampire ?

3月に観た映画2:「クラウドアトラス」

観てきた。3時間と長尺の映画でありながらも最後まで気を抜くこと無く、見続けることができた。その時点で一定以上の面白さはあったと思う。

 

この映画の大きな特徴は、6つの時代でバラバラな話を並行して描いていることだ。しかも登場人物はみんな同じ役者がやってるの。あまり類を観ない実験的な作りだと思う。それでいてどの時代も「自由」・「人間」賛歌というテーマがあるようで、かなり統一感はある。あと「愛」かな。

まぁありがちと言えばありがち、どれも普遍的なお題目ではあるよね。でもこのベタさはいかにも自由の国アメリカの好みそうなテーマだなぁと思っていたら…この映画全然アメリカで受けなかったらしい。それどころか2012年ワースト映画だったとか。

 

理由はなんとなくわかる。

まず、この映画、違う話が並行に進むから、話を追うのが結構難しい。それぞれ少しずつ関連しあってはいるのでそこを楽しむのが面白いんだけど。切り替わりのタイミングも結構早くてこのへんの切り替えできない人にはついてくだけでやっとという印象をうけるかもね。

あと、この映画の特徴的な思想である(と思われる)生と死は連続しているという感覚がアメリカンにはないのかもしれない。所謂輪廻転生的感覚、「死んだら次の世界で生まれるよ」という感覚は、仏教的価値観の上に立っている者とそうでない者じゃすんなり理解できるか否かが変わってくるんじゃなかろうか。この作品を火の鳥みたいと評している人は複数見かけた。

 

この映画はとにかく人を選ぶ作品って感じで、批評家好み…オタ好みな映画だとは思えたよ。押井守がパンフレットに寄稿してたし、なんか日本でのターゲットはそうなのかなーみたいな。

 

 

本編の話をしよう。

全く違った時代を違和感なくつなげるために、映像にも工夫をつけてあるのが面白かった。ある時代で電話をかける→別の時代で電話をとる。ある時代で扉を開ける→別の時代で扉が開く。…とまぁ、こんな風なつなぎ方をしている。ある時代の人間のセリフを別の時代にかぶせたりとね。別々のストーリーはひとつのストーリーを描いているんだなぁと思わせるうまい演出だった。

 

あと、6つある話の中でおれが一番好きなのは文明崩壊後の地球だなぁ。崩壊から100年ちょっとで石器時代をひとつマシにした程度まで文明後退してしまった世界が面白かった。例のごとく過去の技術を持ったままの連中もいるし、好戦的な部族はいるし、文明の跡(おそらくネオソウル?)はあるし。おれは文明崩壊後の世界って結構好きで。

 

このネタ使ってもうひとつ映画つくってほしいなーと観客に思わせれば勝ちなのかなぁ…そんなとこも含めて非常に実験的な映画でした。たまにはこういうの観ないとね。

 

 

 

 

 

 

…評判がいい(らしい)ネオソウル編がちょっとコテコテすぎるかなぁと自分は思いました。クローンに空飛ぶ車にって未来都市オブ未来都市じゃない。…唯一まともにバトルシーンやってるところだし予告編で大きく取り上げるのもわかるけどなー…。あとおっぱいでました。

 

 

 

それにしても、欧米から見たアジアはいろいろなのね。アジアの国をどこかひとつ映画に出すとしたらどこがいいか。「キャビン」は、日本だった。そして本作は「韓国」だった。次は「中国」かもね。でも、作中で描かれる下町の光景が香港だか東南アジアだかよくわからないあたり、所謂アジア感はそこで止まってるんだろうな。別にソウルだろうがトーキョーだろうがどうでもいいのだろう。