ツインテールの吸血鬼はお好きですか

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3月に見た映画の感想1「キャビン」

ある日「君が好きそうな映画じゃね?」と言われて観に行ったのが「キャビン」だった。実のところ、その日までタイトルすら知らなかった映画だったが、これが正解だった。そう、この映画はなるべく情報を仕入れずに観たほうがよい。だが、情報を集めてそうな人ほどこの映画を観たがる。…おれは幸運だった。

 

 

どんな人がこの映画を観たがるかと言えば、そりゃあB級のホラー映画好きだろうさ。あるいはパニック映画、モンスター映画好きだろか。「キャビン」は、ホラー映画の「お約束」を知っている人ほどニヤニヤできるだろう。

 

さて、以下の5人の若者が、湖の畔の別荘に遊びに行きます。どの順番で死ぬでしょうか?

・ブロンド女

・ブロンド女の彼氏のイケメン

・処女

・ガリ勉

・ジャンキー

正解は劇場で!

 

…この映画は、こんな典型的記号で物事を捉えて、ひとつ上の視点…メタ的な視点とでもいうか、それで楽しめる人向けなんだ。うっそうとした森に佇む古臭い一軒家、意味ありげな地下室に置かれたいわく付きなオブジェクト…前の住人の手記やオルゴール、難解パズルオブジェクト等々、ホラー映画にありがちな要素がこれでもかと散りばめられてる。

もっとも。「キャビン」は、ただ単に典型的なホラー映画をやっているだけじゃなくて、メタ視点もストーリーの根幹にかかわってくる。なぜこの舞台で、ホラーでパニックでモンスターな出来事が起きてしまうのか?それにこの映画は答えを示してしまった。"ホラーを欲している観客がいるから、ホラーな出来事が起きるのだ"とね。

 

何を言ってるかわからない?要はすべてが茶番だってことだろうか。この世に偶然はなく、誰かが仕組んでいるから物事は起こっているんだ。

…アニオタ的視点から言えば、「BLOOD-C」に非常に近いかもしれない。物語のすべてが誰かの意図であった点や、典型的なお約束を逆手にとっている点にシンパシーを感じるし、終盤の"お祭り騒ぎ"の雰囲気がよく似ている。お祭り騒ぎは両作品で一番やりたかったことなんだろうなぁ。ホラーとギャグは紙一重であるってところを理解して、その上でニヤニヤしながら作ってたのが見えるようだ。

 

悪趣味を悪趣味として楽しむ。極上のB級映画を煮詰めたようなB級映画。「キャビン」はそんな映画だったな。もしTV放映されて、ビールとポテチ片手に実況する日が来るとしたら…それはもう最高だろうな。