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きっと主人公に選ばれないヒロインたちに告げる


昨日TVKでましろ色シンフォニーが最終回を迎えた。円満かつ穏やかな終わり方だった。
ここ数年のエロゲ原作アニメとしては上位に入る出来だったと思うのだが、なによりも主人公に選ばれなかったヒロインを描くというある意味タブーに踏み込んでいることが興味深かった。

一般的なエロゲ(ギャルゲ)原作アニメはだいたい以下の3パターンある。
・「原作通り」共通ルート及び各キャラクターのシナリオをなぞりつつメインヒロインで締める(だいたいこれ)
・キャラクターのみを借りたオリジナル(恋姫、ToHeart等)
・特定ルートを描いて、エンドを迎えた後パラレルワールドで別ヒロインのストーリーを描く(ヨスガ、アマガミ方式)

アニメのましろ色も「原作通り」をだいたい走っているのだが、メインヒロインじゃなかったのがちょっと珍しい。
公式の人気投票を参照して、一番人気紗凪及び二番人気みうのルートをアニメで描くことになった。人気に関わらずメイン(看板)ヒロインのストーリーをやるのが常なのだが、人気とは言え看板じゃないキャラクターのルートをやるのはちょっと冒険。SHUFFLE!とかで例があるけど。

**選んでくれてありがとう
さて、アニメでは後半、主人公:瓜生とみうと紗凪の三角関係未満のお話を描いているのだけれど、特に実らない恋担当の紗凪を重点的に、これでもかってほどねちっこく描写していたのが印象に残った。将来の暗さを暗示させる演出や笑顔が曇った顔、泣き顔の表現とか、真剣に紗凪を失恋させようとするスタッフに執念を感じた。瓜生に選ばれたみうよりも紗凪に明らかに時間を割いていたのだから。選ばれなかったヒロインの末路とはかくなるものか…他のエロゲ原作アニメではあまりやらない展開に驚いた。

この選ばれなかったヒロインをきちんと描くってのは、11話のみう以外のヒロインが集まったクリスマス会に集約される。負け犬たちの傷の舐めあいというのはあまりにも切ない集まり。合間合間に挿入されるいちゃつくうりゅーとみう、ここまで徹底的に勝ち負けを対比するアニメは見たことない。


選ばれなかったヒロインはバラバラにされて透明な存在になる。のだろうか。同時期に放送されていた輪るピングドラムのことを考えると、誰からも愛されなかったヒロインの行く末がすごくもやもやする。他のアニメや…ゲームでも、攻略しなかったヒロインはこんな風にお互い集まって残念会やってるのだろうか。ちょっと考えたくなった。

運命の至る場所

アニメ全体の整合性は良くなかったと言われるけど、確かに前半と後半でちょっと乖離した感じがあったのは否めないような。紗凪曇らせたいの一念は感じたけど、愛理があまりにも影薄くなりすぎたよね。そんなもやもやしたところが逆にゲーム購入に走る層を生み出してるのが面白い。AmazonのPSPゲームランキングでは現在のところ、M3Pのベスト盤より上だという。まぁアニメ放送すれば売れるのは当然だけど、アニメで終始不遇だった紗凪ルートが実装されてると聞けば興味抱く人も多いのかな。


下手に当たり障りなくやるのでなく、徹底的にひとつのルートを描く!ってのも今後のエロゲ原作アニメのトレンドになるかもしれないなぁ。メイン(看板)ヒロインに固執しなくてもいいものはできるんだな、と。


ようやく君は気がついたのさ

瓜生批判はあるけど、ありゃ仕方ないと思う。紗凪の描写が他のキャラクターより飛び抜けて多いため、勘違いしやすいが、瓜生視点で見ると紗凪は自分に敵愾心を抱いてる扱い辛い子なんだ。紗凪寄りの視点で描かれてるから瓜生が鈍感で煮え切らない奴に見えるが、普通に考えるといきなり飛び蹴りをしかけてくる子のことを好きになれと言われても無理だ。ツンデレキャラは、主人公に「あいつはツンデレである」という認識があって初めて成り立つ存在なわけだ。

紗凪に足りなかったのは素直さ、なのだね…。