コードナンバー044

　長らく住んでいた大阪を離れ、故郷から1000キロも離れた東京に立ったのがちょうど一年前。初めて見る土地、新しい生活、丸の内のビル群の前で、不安と期待が混じり合った想いを抱いたもんだ。

　それからの一年、東京に落ち着くことなく、日本のあちこちを回った。四国にも行った。静岡にも行った。この前まで群馬にいた。
　自分の一存でなんとかなる事情ではなかったとは言え、数ヶ月ごとにリセットが繰り返されるような生活は、非常に落ち着かないものだった。

　今度の新天地は川崎市。神奈川県の東京に対する橋頭堡のような街だ。
　海岸沿いの工業地帯を見れば、工場の町かな、と思い、駅前の繁華街ぷりを見れば都会なんだな、と感じ、住宅街の広がりを見ればベッドタウンなのかな、さらに農園もあると、実に多彩な顔を持つ街だ。

　そんな街に俺は根を下ろすことになった。さて、これからどんな毎日が待ち受けているのか。
　本当の大変はここからだ。