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ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ

 ライアーゲームって本当話自体は単純なんですよ。


 まずナオちゃん「みんなで勝てます」が楽観的にみんなを信じて、
 次にキノコが「ナオちゃんは本当にバカだねぇ!」とナオちゃんを裏切って、
 最後に秋山さんが「騙されていたのはお前だ」と締める。
 「このゲームには必勝法がある」も付け加えようかな。おっと、俺は原作知らないから、ドラマの話ね。


 そんな単純な展開以外は無いし、やろうともしていない。だからこそ面白いんだと思う。
 推理だとか心理戦だとか以前に、ライアーゲームは正しい少年マンガのノリを感じる。実はドラゴンボールと同じ楽しみ方が出来る作品だと思う。例えるならナメック星編で、秋山さんは悟空で、「X」はフリーザなんだ。



 「ライアーゲーム ザ・ファイナルステージ」を劇場にわざわざ観に行くのはどうかと思っていたが、行って正解だった。上映時間中ニヤニヤが止まらなかった。それぐらい勢いがある映画になっていた。


 映画としては低予算な方じゃなかろうか。テレビシリーズと同じく劇中ほとんどのシーンがひとつのセットで繰り広げられたりする。それでも飽きが来ないのは映像の派手さというより脚本で魅せているんだろうな。
 それに、きっと演出なのだろうけれど、全編を通して舞台劇を意識しているように見えた。登場人物たちの舞台での立ち方が「自然」じゃなくて「演劇」みたいな配置になってるように思えた。


 いや、ライアーゲームはそういう演出がどうとかで語る作品じゃないな。もっと即物的に反射神経だけで感じるものだ。
 俺はもう「やっぱりナオちゃんはバカだなぁ」「こいつ絶対裏切ってるよね」「…秋山さんマジかっけぇ!」てな感じに、心の中の実況スレにレスしまくりだった。
 ライアーゲームは実に実況に合う作品だ。映画館にいながら、脳内で実況スレッドがどのように進んでいくか見て取れるほどだ。

 そう、この作品はツッコミどころが多い。登場人物の言動は奇妙なまでに誇張されてるし、ストーリーの起伏が本当「起伏!」って感じなんだ。メリハリが効き過ぎてるぐらいに。大勝利か絶望しかない。
 TVシリーズでは1ゲーム1回のどんでん返しが、劇場版ともなれば何回もあるからカタルシスを感じる間もなく次の谷が待ちかまえていて疲れてしまうぐらい。

 だからこの作品はあまり考えて観ない方がいい。ナオちゃんと同じ視点に立って、ゲームの結果に一喜一憂したり、秋山さんに「やだ…カッコいい…」と濡れてみるべきなんだ。
 
 そう、秋山さんは本当にかっこよかった。どんなピンチでも秋山さんなら確実になんとかしてくれる…と思わせる信頼感がある。それでいてツンデレなのがパーフェクト。
 というか、登場人物がことのごとくツンデレだったのには驚いたな。あのヨコヤァ!まですっかりナオちゃん教に染まっていたくらいだもの。ニヤニヤしっぱなしだった理由はこれ。


 そして何よりもこの映画はオチが秀逸だったと思う。こんだけすっきりしたオチは近年無かったよ。
 ライアーゲームというタイトル、バカ正直なナオちゃんという存在。それらにふさわしいラストシーンだったと思う。

 面白い作品をありがとう。