ツインテールの吸血鬼はお好きですか

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獣の奏者エリン 「清らかな夜」

「君は私の許嫁であったソヨンの娘。君が大罪を犯し、世界と共に破滅していく様など見たくはないのだ。
エリン、私は君をずっと見守ってきた。ソヨンが死んだあの日も、その後もずっと」
…見ていただけ?あなた方は戒律を守るため、すべては禍を招かぬためと言って、人を見殺しにし、獣たちを縛っている。
それが本当に正しいのですか?変わるべきは獣ではなく、人の方ではないのですか」
「人は罪を繰り返す愚かな生き物だ。だからこそ掟という鎖で縛るしかないのだ」
「あなた方は初めから諦めてしまっている。だから大罪という言葉で人の心を縛るのですね。
私はたとえこの身が破滅しても、リランを人の掟で縛ることはしたくないのです」

 今日の獣の奏者エリンは、会話に始まり会話に終わった。ストーリー上真王となったセィミヤとエリンの対談は重要であるのだが、アニメにすると会話だけってのは地味になりそうなもんだ。しかし、演出と台詞回しが光る回だった。特に俺は台詞にゾクゾクきたね。

 見ていただけ。そう、あのストーカーはただエリンを見守っていただけ。見守ることが役目だ、責任を果たしているのだ、と逃げていたのを完全に看過されていたわけだ。これまでのエリンの人生にだって、エリンを見守ってくれた人は何人もいた。ジョウンおじさんも、エサル先生も、エリンを見守っていた。でもそれだけじゃなくて実際に関わってくれて、エリンを教え導いてくれた。そういう人を知っているからこそ、ストーカーの、ひいては霧の民の何もしなさが許せなかったのだろうな。

 このへんはユグドラ・ユニオンユグドラさんを知っている人はより楽しめる気がする。Cエンドね。要は見ていて何もしないのは、実際に害を為すのと等しいってことだ。だから否定される。

「あなたはリランと出逢わなければ、王獣規範は今も守られていたのでしょうね。神々の采配とはこういうことなのかもしれない。
そして、この私たちの出会いもまた神々の采配なのかしらね。そう思わない」
思いません。私たちの出会いは神の意志などではありません」

 その後もセィミヤさんのロマンチックな発言をばっさり。非常に現実的。そりゃ母を失い、指を食いちぎられ、友人や恩師や生徒が人質になってりゃそうも言いたくなる。でもエリンさんの行動自体は、王獣を自由にしたい、というわりかしロマンチックな気持ちから来てるもので、それが面白い。自分の理想のためにいくらでも現実になれる。すごいと思う。

 この物語はけっして誰が正しいとかじゃなくて、それぞれがそれぞれの正しいと思うこと、をやろうとしていて、それがうまくいかねー!ってとこなんだろうな。主人公たるエリンさんも正しくはないんだ。ぶっちゃけ国が滅びてもいいと思ってるだろうしな。自分の理想のためには国が保たなきゃいけないと思ってるだけで。

 残すところ3回ぐらいらしい。広げるところまで広がった風呂敷をたためるのか。おそらくストーリー的には次回が一番の山場な気がする。来週も目が離せないね。