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獣の奏者エリン 第39話

 …すごい。毎週エリンを見ているが、回を増すごとにどんどん面白くなっていくのが不思議なくらいだ。終盤は一気にテンポアップしていくと聞いていたが、今回の物語の動き方は半端じゃない。陰謀。王獣が再び戦場に躍り出る。大罪。
 目の前でたくさんの闘蛇や人間たちが無残な姿になるのを、エリンは「目をそらさずに見ていた」。彼女が背負った罪だ。だが、彼女は止まらない。人間の決めた掟も、動物がそれに縛られるのも、くだらないと言い捨てる。

 闘蛇と人間の血と肉にまみれたエリンを、ダミヤは「清い乙女」と言う。彼はただ権力が欲しかったわけじゃないのかもしれない。現在の真王の体たらくに嫌気がさしていて、神話にあるような強い神を求めていただけなのかもしれない。ダミヤもまたただの黒幕ではないわけだ。


…今回は本当ゾクゾクくるね。少女殺戮。隠された力。…それだけ取り出すと、まるでありふれたライトノベルみたいな要素だ。でも、それがきっかけじゃないんだ。十七分割されたことが物語の"引き"じゃない。エリンは"結果"なんだ。彼女がどうしてそんな大罪を犯してしまったのか、犯さざるを得なかったのか。それがこれまでの38話までの間にしっかり描かれている。
 「動物が人の掟に従うのは嫌だ。でも人が死ぬのも嫌だ」。非常にわがままだ。けれど、それが彼女の、彼女が生きてきた人生から導かれる本心だ。だからこそ、彼女が墜ちていくのに非常にゾクゾクさせられる。

 …すごいアニメだよ、エリンは。