ツインテールの吸血鬼はお好きですか

Do you like a twintail vampire ?

四本足で立つのが獣 二本足と意地と見栄で立つのが男

銀魂の長編ってのはとかく評判がよろしくないらしい。
わかる気はする。俺だって銀魂にはいわゆるジャンプ的な要素を求めちゃいない。バトル?友情?勝利?そんなもの別の日にやってるアニメでも見ていろ。銀魂は銀さんたちとスタッフと原作者が最高にアホやってる話がいいんだ。


それでも昨日の銀魂は良かった。震えた。
吉原編のボスは夜王・鳳仙。何の因果もなく、こんなにもポッと出なのに戦闘民族の出身で、しかも一族最強という困ったお人。
立ち向かうは銀さん。普通の人間。
吉原編ってのは、つまるところ、「剣心が京都に行ったらフリーザがいた」、みたいな話なわけだ。


確かに銀さんだって、主人公らしく超人的な強さだ。毎度毎度の長編では大活躍してきた。でも、それは人間として強いだけ。それはこれまでにも何度か描かれている。
だけれど今回の相手は、ぶっとい柱を平気でぶった切るような恐るべき力を持っている。さすがの銀さんにも、前回、前々回のような夜兎同士のバトルができわけもない。どう考えても勝てない。ムリだ。


それでも銀さんは戦う。誰かの笑顔のため、絶対に勝てない相手であっても、全身の筋肉が悲鳴を上げて、体から心から立ち続ける気力が抜けようとしていても、軽口叩いて、あらがい続ける。
銀さんは人間だ。戦闘民族の血に覚醒することもなければ、超能力があるわけでもない、何でも次元でも切り裂ける刀を持ってるわけじゃない。スタンドはあったかもな。
それでも銀さんは、自分の意志を曲げないために、受け止められないはずの一撃を受け止める。一矢を報いる。


夜兎が戦闘民族で戦い続ける宿命であるのと同様に、銀さんも侍として、戦い続けることが存在意義なんだ。
人間だからじゃない。侍だから。勝つとか、負けるじゃなく、戦い続けること。戦わないことが銀さんにとっては負けなんだ。


普段ちゃらんぽらんな人間だけど、やるときゃやる。ホンマかっこええよ。
俺も銀さんのごとくあらがわなくちゃなんねぇ、元気をもらった気がしたよ。前回の超人バトルじゃなくて、泥臭い戦いだからこそ良かった、長編も悪くないじゃないか、と。


ついでに

吉原編はキャストも素晴らしいな。
前回の大塚芳忠。ひょうひょうとしながらも凄みを見せる、己の美学のある悪役っぷり。「言っただろ…俺は共食いは嫌いなんだ」…の発生がゾクゾクくるわ。
そして今回の銀河万丈